涙が虹にかわる町

切符(チケット)に書かれた
小さな駅の名を告げる声が響く
木立(こだち)ゆらしながら
梅雨を連れ去る風
夏の気配 胸にみちてゆく

悲しみに震えた昨日が消えて
心ほどけてゆくみたい

空に近いこの町の
虹がみえるあの小径(みち)で
雨の匂い感じたら きっと
微笑みあえるから

自転車で迎えるなつかしい面影
ふたり乗りの背中
幼い日の記憶 よみがえるぬくもり
頬をよせたままで
瞳を閉じる

たとえいま離れて暮らしていても
私ひとりじゃない だから……

涙の跡 隠しても
たぶんみんな気づいてる
家のドアをあけたなら きっと
優しさにあえるから

涙の後 この胸に
架かる虹を越えたなら
ちがう私ふりむいて きっと
微笑みにあえるから
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