ロータリー

待てど暮らせどこの工事は
終わりそうにない。不便でしょうがない。
溢れ落ちるくらい抱えた荷物じゃ
はみ出てた愛に気づかない

上手くやってたつもりでも
テレビの音とため息の中で。
ふたりの時間が減っていることも
気づいてたはずなのに

空っぽの部屋に
慰められている気がして
駅前のよく行ったパン屋も
ずいぶんと前に

ただあなたを愛していた頃に
砂時計を返すように戻れたら
恥じらうように手を繋いだ
古びたロータリー
思い出の中にひとり。

気づかれないように背伸びをして
置いていかれないように隣を歩いてさ
あの待ち合わせの場所も
最後に見送った背中も
ねぇ

ただあなたを愛していた頃に
砂時計を返して戻れるのなら
不便でも、辛くても、手を繋いで
隣にいさせて。
思い出にできないから。
あなたのいない町で。
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