紫に匂う花

茜さす 紫野ゆき 標野(しめの)ゆき
野守はみずや 君が袖振る

飛鳥の川の岸辺に薫る
君はあでやかな紫の花
紫の花
明かるい春の陽ざしの中に
陽炎のように現われた

君を恋い 君を慕い
あてどなく さまよう
君を恋い 君を慕い
あてどなく さまよう

紫の 匂える妹(いも)を 憎くあらば
人妻ゆえに われ恋いめやも

畝傍(うねび)の山の梢に遊ぶ
君はきよらかな白鳥の精
白鳥の精
雨にけむった秋の港を
雲のかなたへ飛び去った

君を恋い 君を慕い
あてどなく さまよう
君を恋い 君を慕い
あてどなく さまよう
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