白い嘘

灯が騒ぐ 改札前で
あなたを待っている
手袋を忘れたよ
また嘘を話し出す

味のしない
「今日も寒いね」
それさえも暖かくて
マフラーでそっと伏せた
2人の赤い頬

溜め込んだ嘘も 雪のように溶けてく
あなたの 横顔に 溶かされてく

胸の痛みとは逆様に
あなたをもとめてる
願ったわけじゃないのに
震えた手の行き場を探して
吐きかけた言葉白く消えた

中身のない
一言一句を
見返したりして
無邪気な笑顔の
意味を覗きたくなる

灯が残る 静かな街で
言葉は途切れ途切れ
静寂に釣られて
仕舞い込んだ気持ちが溢れそうで

あぁ 言葉には出来ないから
嘘だよって誤魔化す それすらもできないけど
この温もり離したくなくて

あのね 言葉を探してるんだ
今日こそ 今夜こそって
もう気付かれてるかな
手の震えさえ気づかないまま
嘘にしないから 聞いておくれ
さよならの声が届く前に
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