ひとり囃子−“祇園祭”より−

四条通りの 日盛りを
長刀鉾(なぎなた)が 通ります
去年の夏に 見た時は
あなたと私は 揃いの浴衣
はぐれちゃ嫌よと 手をつなぎ
冷たいラムネを 飲みました
あれからあなたは 帰ってこない
今から思えば わがままで
強がりばかりの 私でした
ごめんなさいねと いいながら
祇園囃子と 人波に
押されて思わず 泣きました

鉾の上から 十字路に
青い粽(ちまき)が散りました
去年の夏の お祭りは
それでももっと 賑やかでした
八坂神社の 石段さえ
あなたと歩けば 多かった
あれからあなたは 帰ってこない
今から思えば あの時に
生意気言ってた 私の頬を
音立て殴って 欲しかった
私ばかりか 京都まで
捨ててどこかへ 行った人
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