夜更けの町 港の町
さいはての町
霧笛が咽ぶ
海峡に ああ 霧が降る
殺したいほど 好きだった
可愛いあの娘の 面影が
浮んで消える 無情な海に

夜更けの町 港の町
思い出の町
男の胸を 濡らすよに
ああ 霧が降る
二重瞼の 横顔が
死んだ二十才の いもうとに
似ていただけさ 未練じゃないさ

夜更けの町 港の町
灰色の町
ささやくように 泣くように
ああ 霧が降る
帰える故郷も 夢もない
錆びた貨物船の マドロスを
呼ぶのは暗い 海鳴りばかり
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