雨の酒場で

並木の雨の ささやきを
酒場の窓に 聴きながら
涙まじりで あおる酒
「おい、もう止せよ」飲んだとて
悩みが 消える わけじゃなし
酔うほど 淋しく なるんだぜ

一輪ざしの 白薔薇を
ちぎって何故に また棄てる
花に恨みが あるじゃなし
「おい、もう泣くな」いつまでも
いのちの恋の 切なさは
泣いても 泣いても きりがない

グラスの底を 傾けて
飲みほす君の 悲しみを
知っていりゃこそ 止めるのさ
「おい、もう帰ろうや」夜も更けた
小雨の道が 遠いなら
せめても送ろう そこらまで
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