防波堤

そのうちぽつりぽつりと
落ちて来そうな空模様
防波堤をうしろに
バス待つあの娘は
ちいさな
ボストンバックと
うつむきかげんの
その目に
何かわけでもありそうな
しぐさが僕をさそう
旅人のこの僕が
ふとたずねた
もう寒い街

海辺の香りにただよい
ゆきかう人はえしゃくを
あの娘はここを離れても
いつかは この町に
もどるだろ
なれすぎたこの暮らしを
ふと思い出し

バスが来るまで
年老いた二人が
別れをおしむ

旅人のこの僕が
ふとたずねた
もう寒い街
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