表ばかりじゃ 世間は見えぬ
言葉だけでは 心は読めぬ
拗(す)ねる気持は さらさらないが
意地と情けの 合わせ貝
夢を鳴らすにゃ 重すぎる

握りこぶしを 血の出るほどに
噛んで見上げる 片割(かたわ)れ月に
消したつもりの 浅黄(あさぎ)の単衣(ひとえ)
揺れる小柳(こやなぎ) 袋小路(ふくろこじ)
せめて怨(うら)むな この俺を

浮世花道 汚れる役が
いなきゃ泣かせる 芝居にゃならぬ
「忍(にん)」の一(ひと)文字 背中に刻(きざ)み
時の流れに 棹(さお)さして
俺は男で 生きて行く
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