桜貝のかほり

なぜ好きなのかわからない
なんで燃えて苦しむの
水平線のあの向こう側へ
手をとりいっしょに逃げますか

桜貝に願い込め
空に投げても落ちてくる
しあわせが欲しいわけじゃない
あなたを失いたくないの

夕日を浴びた引き潮が
つらい恋を物語る
抱き寄せられてふと涙ぐんで
優しいあなたを恨みます

桜貝を指に乗せ
熱い吐息で暖めて
お別れの瞬間(とき)が来ぬように
きれいな呪文をかけました

潮風(かぜ)に吹かれて歩くほど
帰る町が遠くなる
この砂浜に寝ころんで今夜
ふたりの宿命変えましょうか

桜貝を胸に当て
明日(あす)も逢える?と尋ねたら
波音が耳に広がって
あなたの返事を消して行く
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