ガレキに咲く花

ざわめきの片隅に咲く花よ
生まれる場所を選べずに
誰も気づかない陽も当たらない
かわいたガレキにひとり根をはるの

ためらいながら 今 ひとときの命
川のほとりも草原も見ないまま散ってゆく

どこに根をはろうと 美しく咲いて散る
それだけ あとは何もない

生まれしものは生きていたい
せめて誰かそばで見ていてほしい

力をふりしぼる 今 ひとりきりの命
野に咲き乱れることもないままに散ってゆく

どこに根をはろうと 誇らしく咲いて散る
それだけ あとは何もない
あとは何もない

ためらいながら 今 ひとときの命
川のほとりも草原も見ないまま散ってゆく

どこに根をはろうと 美しく咲いて散る
それだけ あとは何もない

あとは何もない
今 散ってゆく
×