月の宿

聞いてください……
わたしの胸の 泣きごえを
忍ぶ哀しみ 手紙にしたゝめて
紅のくちびる おしあてる
山科(やましな)の おんなの 月の宿

あれは秋の日……
おぼえてますか 茶わん坂
ふたつ お湯のみ わたしに選ばせて
愛の約束 させられた
山科の 帰りの 月の径(みち)

見捨てられたら……
わたしは枯れて しまいそう
来ないあなたを 待つ夜は寒いから
ゆめと添寝で ねむります
山科の ひとりの 月の宿
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