こぼれ酒

空ろな酒に 染み残る
あなたの面影 盃 置けば
酔いさめて酔いさめて肌の寒さよ
夫婦暮らしの 真似事も
思い出されて ああ やるせなや

あなたと別れて 幾年か
思いを秘めた 文ありて
過ぎし日の過ぎし日の 種々偲ぶ
喜び満ちて 抱きあいし
水無月の頃 ああ なつかしや

こぼれた酒が 七色に
きらめく中に また浮かぶ
かの日のかの日の あなたの姿
微笑み立てる 切なさよ
残りし酒の ああ 味気なや
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