神様の両手

眠れない夜 まぶたの裏を旅して
遠い国の交差点で 旅券を手に待ちぼうけ
遠吠えのように 響く銃声のなかで
少女の手が僕に迫り 思わず跳ねおきた

そう 今も部屋のパソコンから
世界地図を広げてみても 君の手は掴めない
雲の上では戦闘機が散らばった

翼を背に今 飛び立てたならば
君をこの両手に 抱えて連れ出そう
いつになったら人は許し合うのだろう
神様の両手が今にもこの星を振り落としそうなんだ

炎を上げて燃え盛るあの子の家
カレンダーもダイアリーも 二度とめくれはしない
国境に立つドーベルマンは嘶き
すぐ巻き添えになりそうな僕らを撥ねのけた

ああ 礼拝堂 ステンドグラス
翳した手に届く光
愛を求め歌えば すり替えられる言葉たち
「武器をもっと」

翼を背に今 飛び立った少女
小さくなっていく 生まれた育った街
いつになったら人は認め合うのだろう
神様の両手はここにいる僕たちの両手だということを
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