むらさき川

たたく太鼓が 聞こえれば
帯でおさえた 未練がひとつ
胸で目覚める あばれ出す
小倉おんなの 夏が逝く
むらさき川に 捨てたはず
あなたも恋も 思い出も 倖せも

たとえ私を 忘れても
遠い故郷を 偲びはせぬか
撥(ばち)の響きが 届かぬか
夢もおぼろな 紺屋町
むらさき川に ゆらゆらと
浮かんで消える 歳月(としつき)は まぼろしか

小倉おんなの 片なみだ
むらさき川の その先は
あなたへ続く はずもない 波ばかり
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