彼には沢山の未来が有り
彼には少しだけお金も有る
彼には大切な家族も有り
幸せそうに 映っていたのに

いつもと 何にも変わりのない日に
会社に 一本の電話が入る
病院に駆けつけた時には
もう

彼には広すぎる家が残り
ただ ただ 毎日が続きました
彼には 何一つ わからないまま
ただ ただ 毎日を生きました

悪い事してるのは 俺だけじゃないハズだよ
殺していい奴なんて もっといるだろう
他の奴らじゃなくて 何でうちなんだ
運が悪かったとでも 思えばいいのか

彼は音もなく 思ったのです
彼は音もなく 気付いたのです
彼は音もなく 立ち上がって
彼は音もなく それを 手に 取った

正しいやり方なんてあるもんか
黙って何にも無かった事になんか出来るか
誰も助けてくれないのならば
もう自分でやるしかないよ

彼はその日から街を歩いた
たった一つの理由なんてもはや無く
彼はまるで別の生き物のように
沢山の人を殺し 彼だけの正義を貫いた

苦しいのが 他人に見えないのはナゼ
悲しいのが 他人に見えないのはナゼ
苦しいのが 他人にわからないのはナゼ
悲しいのが 他人にわからないのはナゼ

だからわけてあげるよ

彼はつまらないヒーローになり
彼は幸せを取り返しました
それは昼過ぎの映画の話
エンドロールの中 私は席を立つ
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