花街ロマン

父は街をさまよい
僕はまた学校へ行き
母は家で 洗い物じゃぶじゃぶ

父は何かのはずみで
仕事をやめてしまい
母の泣き言 いつもぶつぶつ

街をさまよい
この花街を
今日も明日も
父は街をさまようのです

春とはいへ まだ寒空
僕はまふらーも巻かず
家路につくのです

そんな父の後ろ姿
僕に似てるかもと
ういんどうに写してみるのです

家では夕餉の支度
夕暮れ時のかほり
こんな時が一番つらいのです

街をさまよい
この花街を
今日も明日も
父は街をさまようのです

夜ともなれば 街が華やぎ
お白粉のにほいの中に
安らぎがあるかもと

この花街で
あの日の事を
思い出しながら
僕も街をさまようのです
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