夕焼け小焼け

いつでも人には 傘をさし
自分は寂しく 濡れていた
思えば母の 人生は
どしゃ降りつづきの ままだった
夕焼け小焼けを 見るたびに
なぜか切なく なるのです

にじんだ涙が まだ残る
ひらがな綴りの 母の文字
いまでは形見に なったけど
読ませてやりたい 弟に
夕焼け小焼けを 見るたびに
なぜか哀しく なるのです

あたたかだった 母の背中(せな)
ひとりで越えてた 水たまり
妻にと思う あのひとに
歩かせたくない 苦労坂
夕焼け小焼けを 見るたびに
なぜか切なく なるのです
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