街路樹は知っていた

人影も見えない駅の
椅子にそっと寝ころんで
煙草を吸ってみた

街の灯がともり始めて
こんな私に問いかける
淋しくはないかと

夢だけは失くしてない
たとえ今日が悲しい日でも

手をつなぎ帰る子供よ
せめて君は忘れるな
その手のぬくもりを………

また一人友を失くした
ほんのささいなことだった
私にしてみれば

居るだけで心やすらぐ
そんな優しい人だった
今にして思えば

しかたないとうつむいて
悲しそうに笑った君は

陽に焼けた大人の顔と
二人あそんだあの頃の
子供の顔してた

通いなれた駅までの道
今日は何故か涙がおちて

街路樹はいつもみていた
こんな私のちっぽけな
喜びと悲しみ
×