乙女の祈り

ひと晩かかって
やっと書きあげました
何度も何度も書き直し
何度も何度も読み返し
あなたへの想いを
ひとかけらも残さずにつめ込みました

うすい水色の便箋には
青いインクで
私のありったけの あなたへの想いが
あふれそうになりながら
つまっています
文字が大きくなったり
小さくなったりしているのは
どうぞ 許して下さい
いくら押えても いくら押えても
気持がゆれてしまうんです

まだ
口さえきいたこともない あなた
あなたは あなたの近くに
こんな女の子がいることなど
これっぽっちも知らないでしょう
それでいいんです

いつも
スポットライトに照らされているみたいに
華やかな あなたには
小さな弱々しいローソクのような
私の光など届くはずがありません
でも
それでいいんです
私の心の炎は
あなたがいてくれるから
燃えることができるのです

やっと書きあげた便箋を 三つ折りにして
白い封筒に入れましょう
あて名書きは……
そう おもてのあて名は 私あて
住所 名前 郵便番号は
すべて私のもの
そして
封筒の裏の 差し出し人の名前は
あなた―――

二日後に
愛をぎっしりつめ込んだ手紙が
あなたの名前で
私に届くでしょう………
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