十六夜の雨

もう 視界が歪む 指は震える
骨が 軋み上げる
干涸ぶ 此の身よ
いっそ 朽ちよと 願うも 連れ無し

否や 此れ以上 出来るなら
独り暮れたい
なれど 亦 二人 唇は 朱に染まりて

雨に 打たれる 為に
漫ろに行くを 見遣るは 夜の 雲や

刻んだ 咬み痕 細る好き人
迚(も 見て居られぬ
干涸ぶ 其の身の 愛おしきこと
首筋を 摩る

否や 此れ以上 出来るなら
濡れて触れたい
なれど 紛うなり 唇は 何故に染まるや

雨に 打たれる 為に
漫ろに行くを 見遣るは 夜の 雲や
雨に 濡れ戯らせて
後生や 遂って来やるな
微温い 夜に いざよう

否や 此れ以上 出来るなら
独り暮れたい
なれど 亦 二人 唇は 朱に染まりて

雨に 打たれる 為に
漫ろに行くを 見遣るは 夜の 雲や
雨に 濡れ戯らせて
後生や 遂って来やるな
雨に 喚く 十六夜
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