雪どけの宿

ひとつ浮雲 あかね雲
梢を渡る 風の冷(つめ)たさ
あなたを訪ねて 山間(やまあい)の
雪に埋(うも)れた 温泉(いでゆ)町
あゝ湯けむりに
愛の名残りか 面影か… 雪どけの宿

ひとり湯舟で 湯上りの
湯の香に残る 恋の移り香
命もこころも あの人に
みんな捧げた 雪の夜
あゝ思い出が
胸にこみあげ 泣けるのよ… 雪どけの宿

けむる湯もやに まぼろしか
あなたの姿 ひとり探すの
ふたりで歩いた 温(ぬく)もりが
残る涙の 温泉(いでゆ)橋
あゝ湯けむりに
夢は還らぬ この想い… 雪どけの宿
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