ゆめかぜ

髪を押さえる 小指の白さ
胸の思いが 言えなくて
そっと別れた 故郷(くに)の駅
風はあの日の 夢を連れてくる
夢風は恋の風 思い出に抱(いだ)かれて
微笑を集めては
微笑に泣いている

寂しがりやの 野菊が好きと
部屋に一輪 飾っては
僕の名前を 呼んでいた
花の香りが 今もジンと来る
夢風は愛の風 遠い日に酔いしれて
まごころを拾い出し
まごころに泣いている

女らしくて 気持ちが純で
母に良く似た 人だった
人の前では 見せないが
生きるやさしさ 顔に秘めていた
夢風は夢の風 あの人は今どこに
しあわせを集めては
しあわせに泣いている
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