戯曲 華一匁

暗から闇へと生命を捌く 所業は其れ鬼之如く
時勢の向きには是抗えぬ 黛に染まる世の運命かな

宥めて賺して袂を祓う 親不知よ子不知よ
辛みも抓みも総じて攫う 無慈悲なる掌 に かつて嬉しい華一匁

無数に咲く 緋ノ司 くるり踊る
叫び聲は 神へ届かず
季之節のやうに 流れ薙がれて逝く
その無念さえも その悼みさえも

訳など判らず帯を剥かれて 嬲られ玩ばれても
あ~れよあれよと蜜は溢れて 欺くも不憫な愛を誑す

あの娘が欲しい あの娘も欲しい
嗚呼、、、 悔しかな 口惜しや 嗚呼、、、 狂おしや 扨も

禍の 無数に咲く 緋ノ司 くるり踊る
叫び聲は 神へ届かず
季之節のやうに 流れ薙がれて逝く
その無念さえも その悼みさえも

あの娘が欲しい あの娘も欲しい
その娘が欲しい その娘も欲しい
嗚呼、、、 悔しかな 口惜しや 嗚呼、、、 狂おしや 扨も

憐れ 牡丹は散る 舞扇 はらり堕ちる
もう 喘ぎ聲は悦びに変豹わらず
季之節のやうに 流れ薙がれて逝く その想いさえも

遍く憶いは 遷り薄れて逝く
あの無念さえも

あの悼みさえ

あの怨みさえも
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