林部智史 アルバム『RAINBOW』ロングインタビュー

 

林部智史、最新アルバム ロングインタビュー!「そういったところを、僕は、あえて…」デビュー 7周年「虹」の七色をテーマにした 5枚目のオリジナルアルバム『RAINBOW』2023年9月27日 発売! 自身を含め 7組の作家陣が 7色をイメージカラーとして書かれた バラエティ豊かな 7曲! これまでのイメージにはなかった曲も! あの 小椋佳 が認めて歌を託した 異彩を放つ孤高の歌手!



インタビューの最後に、読者プレゼントあり!



Hayashibe  Satoshi

林部 智史

5th Original Album『 RAINBOW 』


★ あの 小椋佳 が 認めて、歌を託した若きシンガー!
★ 2016年のデビュー曲『あいたい』が「今、もっとも泣ける歌」として大ヒット!
★「泣き歌の貴公子」と言われる、やさしく、やわらかな唯一無二の歌声!
★ シンガーソングライターでもありながら「歌手」として独特の存在感を放つ!

★ デビュー 7周年「虹」の七色をテーマにした 5枚目のオリジナルアルバム!
★ 自身を含め 7組の作家陣が 7色をイメージカラーとして書かれた 7曲!
★ シティポップ、歌謡曲、ポップス、ロック、AOR風などバラエティ豊かな収録曲!
★ ボーナス・トラックに『虹めいて』のスペシャル・バージョンも収録!

★「挑戦し続けるコンサート・アーティストになっていきたいなと…」 

 

 

 

林部智史 / La Rouge (Live)
 
 
林部智史 / 七つの子・その後 (Lyric Video)
 
 
林部智史 / SUNNY-SIDE UP (Lyric Video)
 
 
林部智史 / Omoide (Live)
 
 
林部智史 / もうひとつの未来 (Lyric Video)
 
 
林部智史 / 心の傘 (Live)
 
 
林部智史 / やさしい眺め (Lyric Video)
 
 
林部智史 / 虹めいて (スペシャル・バージョン)
 
 
 
 


■ リリース情報
 
 
 
林部智史『RAINBOW』【デラックス盤】
アルバム CD + DVD
2023年9月27日 発売
AVCD-63493/B
¥3,850
avex trax
 
<CD 収録曲>
1 La Rouge (作詞:松井五郎、作曲:林哲司、編曲:西村真吾)【赤】
2 七つの子・その後 (作詞:阿木燿子、作曲:宇崎竜童、編曲:佐藤浩一)【橙】
3 SUNNY-SIDE UP (作詞:藤林聖子、作曲:マシコタツロウ、編曲:出川和平)【黄】
4 Omoide (作詞:鮎川めぐみ、作曲:松本俊明、編曲:岡崎雄二郎)【緑】
5 もうひとつの未来 (作詞:森由里子、作曲:Minnie P.、編曲:佐藤浩一)【青】
6 心の傘 (作詞・作曲:林部智史、編曲:西村真吾)【藍】
7 やさしい眺め (作詞:来生えつこ・林部智史、作曲:来生たかお、編曲:出川和平)【紫】
8 虹めいて 〜スペシャル・バージョン〜(作詞:阿木燿子、作曲:宇崎竜童)ボーナストラック
 
<DVD 収録内容>
「林部智史 7th Anniversary Concert 〜虹めいて〜」
 (2023年2月21日 東京 サントリーホール ライブ映像)
01 あいたい
02 表裏
03 恋しぐれ
04 あなたが化粧をする理由
05 いずこ ~ ふたたび歌を空に翔ばそう ~ 
06 ひとかどの 
07 晴れた日に、空を見上げて
08 いま、ここから
09 明日の色
10 笑顔の虹 
11 メドレー
  旅立つ日〜オレンジ〜光へ〜三つ葉のクローバー〜ラピスラズリの涙〜心の傘〜トラウマ〜誓い
12 ボン・ヴォヤージュ!
13 虹めいて
14 ここで咲くために〜虹めいて
 
 
 
 
林部智史『RAINBOW』【通常盤】
アルバム CD / Digital
2023年9月27日 発売
AVCD-63494
¥2,750
avex trax
 
<CD 収録曲>
1 La Rouge (作詞:松井五郎、作曲:林哲司、編曲:西村真吾)【赤】
2 七つの子・その後 (作詞:阿木燿子、作曲:宇崎竜童、編曲:佐藤浩一)【橙】
3 SUNNY-SIDE UP (作詞:藤林聖子、作曲:マシコタツロウ、編曲:出川和平)【黄】
4 Omoide (作詞:鮎川めぐみ、作曲:松本俊明、編曲:岡崎雄二郎)【緑】
5 もうひとつの未来 (作詞:森由里子、作曲:Minnie P.、編曲:佐藤浩一)【青】
6 心の傘 (作詞・作曲:林部智史、編曲:西村真吾)【藍】
7 やさしい眺め (作詞:来生えつこ・林部智史、作曲:来生たかお、編曲:出川和平)【紫】
 
 

 

 

 

 

■ 番組情報



林部智史 特集

2023年 10月13日(金)18:00 〜 22:45

CS「歌謡ポップスチャンネル」

 

18:00〜 宮本隆治の歌謡ポップス☆一番星~演歌・歌謡曲情報バラエティ~#256(テレビ初放送)

19:00〜 宮本隆治の歌謡ポップス☆一番星~演歌・歌謡曲情報バラエティ~#167(初回放送:2019年)

20:00〜 【完全版】林部智史 嚴島神社 奉納演奏会 第一夜「古からの美しき調べ」

21:45〜 林部智史 ミュージックビデオ特集

 

番組サイト

CS「歌謡ポップスチャンネル」見るには?

 

 

林部智史特集(2023年10月放送)

 

 

 

 

■ コンサート情報


林部智史 CONCERT TOUR 2023 ~朝虹は雨、夕虹は晴れ~

 

09/26(火)浦安市文化会館 大ホール(千葉)

10/01(日)静岡市民文化会館 中ホール(静岡)

10/07(土)けんしん郡山文化センター 中ホール(福島)

10/14(土)ひたちなか市文化会館 大ホール(茨城)

10/20(金)サンケイホールブリーゼ(大阪)

10/24(火)東京国際フォーラム ホールC(東京)

10/27(金)広島JMSアステールプラザ 大ホール(広島)

10/29(日)岡山芸術創造劇場 ハレノワ 大劇場(岡山)

11/07(火)大宮ソニックシティ 大ホール(埼玉)

11/15(水)日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール(愛知)

11/19(日)東京エレクトロンホール宮城 大ホール(宮城)

11/26(日)神奈川県民ホール 大ホール(神奈川)

 

コンサート詳細

 

 

 


■ 林部智史 アルバム『RAINBOW』ロングインタビュー

 

 

 

 林部智史という歌手は、今の日本の音楽業界において稀有な存在だと思う。「そのオンリーワンの優しい歌声」、「オリジナルのポップスのほか、童謡や叙情歌、昭和歌謡のカバーなども歌うというジャンルレスでエイジレスであること」、そして、「CDを出すことよりもコンサートを活動の中心としていること」の 3つの点において異彩を放っている。

 

 まず、聴くと心をつかまれるという「泣き歌の貴公子」の異名も持つその唯一無二の優しい歌声は、やわらかく、チカラが抜けた豊かな響きで、言葉を語るように歌うから、聴いていて心地よく、疲れない。嫌味がなくて素直だから、メロディや言葉が伝わってくる。情熱的に声を張って力強く歌う歌手が多い中、こういう人は珍しい。あのレジェンドとも言えるシンガーソングライターの小椋佳が、次世代を担うシンガーとして、林部智史を後継者として指名したというのも納得できる。

 

 また、林部智史は、自身で作詞・作曲もするシンガーソングライターでありながら、自作の曲にはこだわらない。自身が書くポップス系の曲に加え、小椋佳が全曲を書き下ろしたオリジナル・アルバムをリリースしたり、ひらがな表記の「はやしべさとし」名義で、日本の唱歌や童謡、歌謡曲など、美しい調べを歌い継ぐ叙情歌アルバム・シリーズなどもリリースしている。林部智史は、「シンガーソングライター」と言われるよりも、ただ単に「歌手」と呼ばれる方を好む。

 

 そして、ほとんどの歌手が、まず、CD をリリースすることを活動の中心にしているのに対し、林部智史の場合、あくまでも、コンサートが活動の中心だ。だから、CD として発売されていない曲がコンサートで披露されることも珍しくない。

 

 そういう稀有な存在の 林部智史 は、2016年、シングル『あいたい』で歌手デビューし、「今、もっとも泣ける歌」としてクチコミで広がり、有線全国ランキング1位を獲得。その後もロングセールスを続け15万枚を突破する大ヒットとなり、「第58回 日本レコード大賞」新人賞、「第49回 日本有線大賞」新人賞を受賞している。頻繁にテレビに出るようなことはないが、毎回、全国各地の大ホールが満員となる人気で、CS 放送では、特番もよく放送されている。

 

 今年、2023年には、デビュー 7周年を迎え、「虹」の七色をテーマにした通算 5枚目となるオリジナルアルバム『RAINBOW』が、先日、2023年9月27日に発売された。自身を含め 7組の作家陣が、虹を構成する 7色を各曲のイメージカラーとして書かれた全7曲。さらに、ボーナス・トラックとして、今回のアルバムの企画のもととなった『虹めいて』(2022年11月1日発売、4th アルバム『III』収録)のスペシャル・バージョンもデラックス盤に収録されている。

 

 収録曲は、シティポップ風の曲から、歌謡曲調、16ビートのポップス、ロック、AOR風の王道バラードなど、実にバラエティに富んでいて、それぞれの「色」が見えてくる。これまでの林部智史のイメージにはなかった曲もあって新鮮だ。変わらないやさしい歌声は、嫌味がなくて素直、チカラが抜けた豊かな響きで、言葉が伝わってくる。

 

 さらに、通常盤のほかに、2023年 2月に、東京「サントリーホール」で行われた一夜限りの 7周年 スペシャルコンサート「7th Anniversary Concert 〜虹めいて〜」の映像を収録した DVD が付属するデラックス盤も同時発売された。

 

 林部智史は、落ち着いた語り口で、ゆっくりと言葉を選びながら誠実に話す。繊細で、感受性が強く、どちらかと言えば、人見知りな感じのするおとなしい好青年というイメージだが、時々、凛とした芯の強さも垣間見せる。35歳という年齢とは思えないような、超然とした物腰を感じる。

 

 そして、「歌手として自分の良さは何なのか?」を客観的に見て、「自分がやりたいこと」よりも「歌手として自分に何が求められているか?」を考え、それに答えようとする姿勢からは、本当のプロフェッショナリズムを感じる。

 

 歌には、その人の性格やそれまでの人生がよく表れる。林部智史の歌が優しいのは、林部智史 自身が優しい人だからだと思う。それも「表面的な優しさ」ではなく、本人は多くを語らないが、きっと辛いこともたくさん経験したからこそ持ち得る「本当の優しさ」を持っているからだと思う。それが、自然と歌に滲み出ているから、聴く人の心に響くオンリーワンの癒しの歌声となる。

 

 林部智史を一般的なジャンルで分けることは難しい。自身でも言っているように、林部智史は「林部智史というジャンル」を確立しようとしている。

 

 

<もくじ>

1 虹の 7色をテーマにした 7周年アルバム『RAINBOW』
  〜「『虹めいて』が最初で、きっかけでしたね…」〜

2 7組の作家による バリエーション豊かな 七色の7曲
  〜「僕の性格とは逆の歌を書きたいという…」〜

3 AOR風の王道バラード『もうひとつの未来』
  〜「"食べたいな!" って一番思ってた楽曲ではありました…」〜

4 自身が作詞・作曲を担当した『心の傘』
  〜「振り幅を出したかったアルバムでもあるので…」〜

5 アルバム・コンセプトのきっかけとなった『虹めいて』
  〜「"せーの" で歌って録ってます…」〜

6 もうひとつの活動、叙情歌カバー・アルバム『琴線歌』シリーズ
  〜「そういったところを、僕は、あえて…」〜

7 これからの林部智史
  〜「挑戦し続けるコンサート・アーティストになっていきたいなと…」〜

 

 

 

1 虹の 7色をテーマにした 7周年アルバム『RAINBOW』

〜「『虹めいて』が最初で、きっかけでしたね…」〜

ーー 2016年、シングル『あいたい』で歌手デビューし、「今、もっとも泣ける歌」としてクチコミで広がり、有線全国ランキング1位を獲得。その後もロングセールスを続け15万枚を突破する大ヒットとなり、「第58回 日本レコード大賞」新人賞、「第49回 日本有線大賞」新人賞を受賞した 林部智史。

 

ーー 今年、2023年には、デビュー 7周年を迎え、「虹」の七色をテーマにした通算 5枚目となるオリジナルアルバム『RAINBOW』が、2023年9月27日に発売された。自身を含め 7組の作家陣が、虹を構成する 7色を各曲のイメージカラーとして書かれた全7曲。そして、デラックス盤には、ボーナス・トラックとして、今回のアルバムの企画のもととなった『虹めいて』(2022年11月1日発売、4th アルバム『III』収録)のスペシャル・バージョンも収録されている。

 

ーー 収録曲は、シティポップ風の曲から、歌謡曲調、16ビートのポップス、ロック、AOR風の王道バラードなど、実にバラエティに富んでいて、それぞれの「色」が見える。これまでの林部智史のイメージにはなかった曲もあって新鮮だ。変わらないやさしい歌声は、嫌味がなくて素直、チカラが抜けた豊かな響きで、言葉が伝わってくる。

 

ーー 今回の 7周年にちなんだ、「虹」と「7」にこだわった企画は、どこから生まれたのだろう?

 

林部: まずは、昨年、7周年に向けて、阿木燿子さんと宇崎竜童さんに楽曲(の書き下ろし)を頼みに行ったんです。それで、『虹めいて』(作詞:阿木燿子 / 作曲:宇崎竜童 / 編曲:岡崎雄二郎)という楽曲を去年いただいて、それを、まさに、7年に橋を架けるように歌っていったわけですけど、そこから、いざ 7周年を迎えて、『7th Anniversary Concert』を 2月にサントリーホールで行ったんですけど、そのときに、やっぱり、「7年だからこそ、虹をコンセプトにしたコンサートをしたいな」ということで、今回の 7周年が幕開けしたんですよね。

 

林部: それで、『虹めいて』を(7周年コンサートの)本編の最後に歌って終わったんですけど、その流れで、1年間「虹」をテーマに、コンサート、そして、楽曲もやっていきたいなっていうことが展開されてきました。だから、「7周年は、七色で虹でやっていきたいな」っていうのは、まず、『虹めいて』が最初で、きっかけでしたね。

 

ーー 阿木燿子 と 宇崎竜童 のコンビで 林部智史に書き下ろされた『虹めいて』という曲は、昨年、2022年11月に発売された 4枚目のオリジナルアルバム『III』(サード)に収録された。そして、今回の 7周年アルバム『RAINBOW』では、デラックス盤に、ボーナス・トラックとして、スペシャル・バージョンが収録されている。

 

林部: で、そのときに、実は、『虹めいて』ともう 1曲あったんですよ。それが、今回、入っている『七つの子・その後』【橙】(作詞:阿木燿子 / 作曲:宇崎竜童 / 編曲:佐藤浩一)で、その曲を、今年、出したかったんですよね。

 

ーー 阿木燿子 と 宇崎竜童 が、去年、林部智史から楽曲の書き下ろしを頼まれた時に、2曲 書いていたということだ。

 

林部: そうです。2曲あって、そのときは、まだ皆さんの前では歌ってなかったんですけど、今回、オレンジ枠(橙)で収録するっていうことで、また、あらためて……、基本的にはメロディーとかは変わってないんですけれども、詞は、もうちょっとオレンジの要素を足してもらったんです。

 

ーー 今回のアルバム『RAINBOW』では、自身を含め 7組の作家陣が、虹を構成する 7色「赤、橙、黄、緑、青、藍、紫」を各曲のイメージカラーとして書かれた全7曲が収録されている。

 

林部: そうです。で、『七つの子・その後』って、ちょっとなかなかないジャンルというか、「どう出そうかな?」って……、「シングルでもないだろうし」っていう感覚があったので、だからその出しどころをちょっと考えてたっていうことはありました。

 

林部: まず、そんなピースがあったり、あとは、来生たかお さん、来生えつこ さんの楽曲『やさしい眺め』(作詞:来生えつこ・林部智史 / 作曲:来生たかお / 編曲:出川和平)が、これも、もう 5年前になるんですけども、『恋衣』(作詞:阿木燿子 / 作曲:来生たかお、2018年6月20日発売 4thシングル)の時にもらった楽曲だったんですよ。

 

ーー 今回、林部智史が作詞でも参加している『やさしい眺め』【紫】(作詞:来生えつこ・林部智史 / 作曲:来生たかお / 編曲:出川和平)も、以前から温めていた曲ということだ。

 

林部: はい、今回、『やさしい眺め』では、「紫」に近づけるために、僕がそこに歌詞でちょっと加わらせてもらったっていうところはあったんです。

 

林部: で、そんな素敵な曲たちがあって、コンサートでは歌っていたんですけど、「どこで出すか?」っていうピースが二つほどあって、そこから、「どう曲を展開していこうか?」ってなって、「じゃあ、それぞれの作家さんに楽曲……、まさにジャンルも含めて、いろんな色の楽曲、そして、赤から紫までの 七色に分けて出せたらいいね」っていうことで、今回の流れになりました。

 

ーー ほとんどの歌手が、まず、CD をリリースすることを活動の中心にしているのに対し、林部智史の場合、あくまでも、コンサートが活動の中心だ。だから、CD として発売されていない曲が、コンサートで披露されることも珍しくない。

 

林部: えっと……、今回は、それが、半分でしたね。半分くらい(すでにコンサートでも)歌ってて、さらに、まだ実は聴いていただいていない楽曲もあったりしつつ……、僕としては、わりと、まだ皆さんの前では歌ってない楽曲が多い感じですかね。

 

ーー 虹の七色をイメージしたこのアルバムの中には、「藍色」をイメージした、林部智史 自身が作詞作曲した『心の傘』(作詞・作曲:林部智史 / 編曲:西村真吾)という曲が収録されている。林部智史の曲の中では珍しく、マイナー調のロックだ。

 

林部: 『心の傘』は、7周年ということで書いた楽曲で、そのときには、今年のこの動きが決まりつつあって、まだ CD リリースは決まってなかったんですけど、なんか「そんな CD、仮タイトル「虹アルバム」ができたらいいね」っていうことは何となくあったんですけれども、(アルバム 1曲目、先行シングルとして 2023年5月31日に発売された)『La Rouge』すらできていないときでしたので……。

 

林部: で、そうなったときに、やっぱり「最初に動かなくちゃいけないな」って思ったのは僕で、七つの色の中で、7人、計14人の作家さんたちに投げるとした場合に、「どの色が選ばれないかな?」っていうことをちょっと自分の中で考えた中で、僕もやっぱり曲を書くので、「藍色はちょっと選びづらいな〜」と思ったんですよね。

 

林部: それで、僕は「藍色」の楽曲を先にチョイスさせてもらって、7周年アニバーサリー(『7th Anniversary Concert 〜虹めいて〜』(2023年2月、東京・サントリーホール)で歌ったんですけど、そのときに、松井五郎さんと林哲司さんにも来ていただいて「楽曲を作ってほしい」って正式にお願いしたんです。

 

ーー その後、それぞれの作家に、虹の七色からテーマとなる色を選んでもらった。

 

林部: そうです、そうです。そのときに「色を選んでください」って言ったんですけど、たとえば、「藍色」を選ばれたら僕は違う色で作ろうと思ってたし、「オレンジ」(橙)を選ばれたら『七つの子・その後』は、また違うときに出そうかなっていう流れもあったので、それが、「赤」っていうことを松井五郎さんがおっしゃっていただいたので、うまくはまって出すことになりました。

 

林部: そういう風に、前半戦は、松井五郎さんに色を選んでもらったっていう経緯があったんですけど、やっぱり、だんだん最後、(色が)残り少なくなっちゃうんですよね……(笑)。なので、ちょっと、それぞれのピースをはめるような動きはありましたね。

 

林部: なので、1曲、1曲、それぞれに意図があって、「緑」の『Omoide』(作詞:鮎川めぐみ / 作曲:松本俊明 / 編曲:岡崎雄二郎)っていう楽曲に関しては、もともと、インスト曲、コカリナ(木の笛、オカリナの木製版のような笛)の楽曲としてあった曲だったんですね。それを、こちら側のスタッフが「歌入れさせていただけないでしょうか?」っていうことでお願いさせていただいたんですね。

 

林部: 僕も、偶然、聴いてて、「素敵な曲だな〜」っていうことで、そこに、詞をのせるという形で、「緑がテーマに合いそうな曲だね、三拍子だから」っていうところで、(作詞家の)鮎川めぐみさんに「緑をテーマでお願いします」ってお願いさせていただきました。

 

ーー 『Omoide』は、これまでの林部智史らしいイメージの曲だ。

 

林部: ああ、そうですね、一番、近いかもしれないですね。

 

ーー 林部智史は、小椋佳が自身の後継者として歌を託した歌手としても知られていて、2021年1月、小椋佳のアルバム『もういいかい』と連動して同日に発売された 林部智史 の 3rd アルバム『まあだだよ』は、全曲、小椋佳が書き下ろしている。しかし、今回、7組の作家陣の中に、小椋佳はいない。

 

林部: 小椋佳さん……、そうですね〜(笑)、ああ〜、小椋佳さんがいらっしゃっても良かったですよね……、はははは……(笑)。でも、ちょっと、もうお願いしづらいところありますよね……、はははは……(笑)。たくさんいただいてて、あのアルバム(『まあだだよ』)プラス、しかも、『花に約束』(作詞:小椋佳 / 作曲:追川礼章 / 編曲:追川礼章、アルバム『III』収録、2022年 NHKラジオ「深夜便のうた」)もいただいているので……(笑)。



2 7組の作家による バリエーション豊かな 七色の7曲

〜「僕の性格とは逆の歌を書きたいという…」〜

ーー 今回、アルバム収録のそれぞれの曲について、収録順に聞いてみた。

 

ーー まず、アルバム 1曲目に収録されている「赤」をイメージした『La Rouge』(ラ・ルージュ)(作詞:松井五郎 / 作曲:林哲司 / 編曲:西村真吾)は、アルバムに先行して、今年、2023年5月31日に 8枚目のシングルとして発売された。マイナー調のミディアムアップで「シティポップ風の歌謡曲」といった雰囲気のキャッチーな曲だ。

 

林部: ああ〜、なつかしい感じがありますよね〜。最初、詞を見たんですけど、まだ作曲家さんが決まってない段階で、うちのプロデューサーが、「誰がこの曲を艶やかに作れるかな」っていうところで(作詞家の松井五郎と)相談してましたね。

 

ーー 結果、『真夜中のドア』(松原みき)、『悲しみがとまらない』(杏里)、『セプテンバー』(竹内まりや)、『悲しい色やね』(上田正樹)……などや、「ふたりの夏物語」「君のハートはマリンブルー」ほか 杉山清貴とオメガトライブの全曲を作曲している 林 哲司 が作曲を担当した。林 哲司 としては珍しく、詞先の(歌詞が先にあって、それにメロディをつける)曲となったが、林 哲司 らしいサビの「♪愛しても 愛されても~」のメロディが耳に残る。

 

ーー そして、『悲しみにさよなら』(安全地帯)、『勇気100%』(光GENJI)、『逢いたくてしかたない』(郷ひろみ)、『また君に恋してる』(ビリー・バンバン、坂本冬美)や玉置浩二らの数多くのヒット曲を作詞したことで知られ、これまで、3,500曲以上の作品を手がけている 松井五郎 による歌詞も実に見事だ。とくに、Bメロの部分では、1番では「♪ささやく名前は 譫言 (うわごと) 応えた吐息は 秘事 (ひめごと)」、2番では「♪交わした言葉は 戯言 (たわごと) 失くしていいのは 決事 (きめごと)」といったように、耳に残るフレーズが光る。

 

林部: 詞の内容が、僕の中では、新しくて、面白くて……。松井五郎さんは、今まで僕のコンサートにも何度も来てくださってるんですけども、初めてお越しいただいたのが、玉置浩二さんの『行かないで』(作詞:松井五郎 / 作曲:玉置浩二 / 編曲:安部潤、2018年 アルバム『カタリベ 1』収録)をカバーアルバムに収録したときに来ていただいたっていう流れがあって、そこから何度かお越しいただいてるんです。だから、僕が作る歌も知ってるし、書きそうな言葉も知ってるし、あとコンサートで垣間見える僕の性格を、松井(五郎)さんの中で何となく理解していただいている上で、僕の性格とは逆の歌を書きたいということだったみたいです。

 

ーー 今回、7月7日に開設された特設サイトでは、9月27日の CD 発売日までの間、7曲ある収録楽曲を、「7」のつく日(7/17、7/27、8/7、8/17、8/27、9/7、9/17)に 1曲ずつ、その作家のコメントとともに公開されていったが、その中で、『La Rouge』の作詞をした 松井五郎 は、この『La Rouge』について、「予定調和にならないように、誰もが期待する彼らしい包容力とは別のものを感じさせるように書きたかった」と言っている。

 

林部: そうです。自分で書くと、たとえそれが自分のストーリーじゃなくても、やっぱりどこかしらで感情移入できたり、どっかに気持ちがこもるところがあったりとかっていうのが当たり前にあるんですけど、今回に関しては、もう完全に「悪い男」の歌詞で……(笑)、松井(五郎)さん自身が「悪い男を書きたかった」っておっしゃっていたので、実際、僕の歌い手の引き出しの中では、そういう姿は……、僕からはこういう言葉は出てこないし、書かないし、歌わないしっていうところで、なかなか「自分の感情は、どこにいればいいのかな?」って思いながら、今でも歌ってます。だから、自分はもう、歌い手として、わりと表情をつけずに……、まあ、でも、それでいいのかなと思いますけど。

 

ーー 逆に、感情を込めすぎないから伝わってくる。感情を込めずに、語るように歌われているからこそ、聴き手の感情が入る余地が残されている。

 

林部: そうですね〜、以前、叙情歌の時のインタビューでお話ししたことと重なりますけど……。(2021年の『琴線歌 3』の時のインタビュー、最下部にそのインタビューのリンクを付けておきます。)

 

ーー そして、2曲目に収録されている オレンジ(橙)がイメージカラーの『七つの子・その後』(作詞:阿木燿子 / 作曲:宇崎竜童 / 編曲:佐藤浩一)は、『プレイバック Part2』『横須賀ストーリー』『乙女座 宮』『さよならの向う側』『しなやかに歌って』『〜ロックンロール・ウィドウ』『美・サイレント』『夢先案内人』『イミテイション・ゴールド』……など、数多くの 山口百恵 の作品でも知られる 阿木燿子 と 宇崎竜童 コンビによる楽曲。詞の世界もすごいが、まずサンバ調のマイナーアップという曲調が新鮮だ。山口百恵が歌っていそうな歌謡曲のような雰囲気もある。

 

林部: あ〜、まさにそうかもしれないですね。デモをいただいた時のテンポから、実は 30(BPM)ぐらい上げさせてもらったんです。だから、もともとは、もっとゆったりの曲だったんですよ。阿木(燿子)さんの中では、詞を書いた段階で、「わりとシャンソンに近い曲にしたい」っていうことだったみたいなんですけど、でも、曲調的に、「シャンソンはなかなか難しいな〜」とか、いろいろそういう悩みは、僕もそうですけど、制作チームでもいろいろ悩んだ楽曲でもあるんです。やっぱり、なんですかね……、(童謡の)『七つの子』から(歌い)始まってて、そこから物語がスタートしてるので。

 

林部: あと、阿木(燿子)さんにしては、結構、詞が多い楽曲だなと思っていて、ず〜っと転調していくような楽曲なので、だから、メロディーが違えば、シャンソンにもできたんですけども……。なんかそんなところで、わりと頭とお尻で世界観を変えて、で、真ん中を流れるように歌った方が僕はこの歌はいいのかなっていうことを思ってました。

 

ーー この曲の最後、「♪オレンジ色の光の彼方へ」というところは、突然、メジャー調になる。

 

林部: そうですね〜、なかなか斬新な……(笑)。

 

ーー 3曲目の黄色がイメージカラーの『SUNNY-SIDE UP』(作詞:藤林聖子 / 作曲:マシコタツロウ / 編曲:出川和平)は、メジャー調、ミディアムテンポの 16ビートで、ポップなハネ系のメロディが楽しい曲で、これも、これまでの 林部智史 のイメージにはなかった曲だ。

 

林部: そうですね。かわいい歌ですよね。タイトルが「目玉焼き」ですしね。たしかに、今回の楽曲の中では、一番、珍しい楽曲になるのかなと思いますね。

 

ーー 楽曲に合った、軽い感じの歌声が新鮮で、サビの裏声もそうだが、全体に軽くやさしい歌声が印象的だ。

 

林部: はいはいはい、笑顔で歌ってるっていう感じですね……(笑)。

 

ーー 聴いて楽しい曲だが、テンション・ノートにいく音も多く、実は、歌うにはメロディが難しい曲だ。

 

林部: そうですね。ただ、なんか楽しいからごまかせるというか……、はははは……(笑)。



3 AOR風の王道バラード『もうひとつの未来』

〜「"食べたいな" って一番思ってた楽曲ではありました…」〜

ーー 緑がイメージカラーの『Omoide』(作詞:鮎川めぐみ / 作曲:松本俊明 / 編曲:岡崎雄二郎)は、マイナー調 3拍子の曲で、歌詞もメロディも切ない。2番の Bメロ「♪流した涙 その数だけの 想い出は宝物」が耳に残る。この曲は、まさに、これまでの 林部智史 らしいイメージの曲だ。

 

林部: そうですね、詞の書かれ方も「僕に近いな……」っていうか、逆に、僕に寄り添ってもらってるなっていう感じがしますね。

 

ーー この曲は、MISIA の『Everything』や『忘れない日々』、『もう誰も愛さない』(郷ひろみ)、『メリークリスマスが言えない』(稲垣潤一)などで知られる作曲家の 松本俊明 が、もともと、コカリナ(木の笛、オカリナの木製版のような笛)のインスト曲として書いたものだった。

 

林部: そうなんです。詞が乗る前に、コカリナの曲で聴いてて、もちろん、コカリナのキーでは高すぎて歌えないので、そのキーを変更するわけなんですけど、コカリナの音も聴きながら「これで歌えるかな」っていうことをやったので、コカリナはよく聴きましたね。

 

ーー そして、青がイメージカラーの『もうひとつの未来』(作詞:森由里子 / 作曲:Minnie P. / 編曲:佐藤浩一)は、メジャー調、きれいなメロディの AOR風の王道バラードに、切ない歌詞が乗っている。林部智史 らしいやさしい歌声が印象的な曲だ。歌声で言葉が響いてくる。

 

林部: ありがとうございます。そうですね……、意外となかったんですよね、僕の中でこういうバラードが……。実は、この楽曲は、オリジナル・アルバム『III』(2022年11月発売、4thアルバム)をリリースするときから温めていた楽曲で、メロディーがあって、それで僕が詞を乗せようかとか、そんなこんなしてたら(アルバム)『III』に間に合わなくなってしまって……(笑)。でも、素敵な楽曲なので、作曲の Minnie P.(ミニー P)さんに頼んで、「ちょっと温めさせてもらってもいいですか」っていうことをお願いして、で、ま、今回、「青」(のイメージカラー)としてアルバムに入れるにあたって、Minnie P. さんもまたブラッシュアップしてくださったりしたんです。

 

ーー メロディも本当に美しいバラードだが、詞もいい。「もしもこうだったら違ったのかもしれない……」というような、ちょっと後悔があるところが泣ける。とくに、Bメロの「♪もう一度 もう一度 もうひとつの未来まで」や、毎回のサビの「♪繋いだ約束 離れた手のひら いつしか 零れ落ちて」「♪繋いだ約束 離れた手のひら 目の前 閉じた扉」「♪ひとつの約束 ふたつの手のひら いつしか零れ落ちて」が印象的だ。

 

林部: (作詞の)森(由里子)さんには、ウチからお願いさせてもらいました。『III』に入れようとしてたときに、森(由里子)さんに一度お願いしてたっていう流れもあって……(笑)。だから、今回、「青」(がイメージカラー)ということで、少し変えてもらったりして……、そんな、みんなで「青」に向けて作ってもらった楽曲ではあるんです。

 

林部: この楽曲は、まさに王道バラードで……、なんですかね、懐かしさもあるんですけど、僕の中では新しさもあって、決して歌謡曲っぽくもなく……、ただ、なんかそれらしさは感じるし、韓流さもあるし、なんかちょっと「いいな」って……、僕が「食べたいな」って一番思ってた楽曲ではありました。

 

ーー イントロのエレピから、たとえば、ホイットニー・ヒューストンの曲のような、往年の AOR の曲のような雰囲気を感じる。

 

林部: そうですね……(笑)、だから、生ピ(アコースティックピアノ)よりも、やっぱり、そっちのちょっと打ち込み系で……、J-POP っていうよりは、ちょっと本当に多国籍な AOR的な要素を出せればな〜っていうのは思いましたね。これ、英語詞とかでも面白かったですね。

 

ーー 英語詞が自然に乗るメロディだし、英語詞になれば、まるで洋楽に聴こえる曲だ。

 

林部: そうそう、そうなんですよね。

 

ーー そういう洋楽のようなメロディだから、歌うとなると難しい曲でもある。

 

林部:一番、音移動があって歌いづらいのが、この『もうひとつの未来』だったんですよ。実際、聴くのと歌ってみるのでは……、メロディが難しいので……。ただ、流れるように歌えないといけないから、初めて「CD 用に作りたいな」って思った楽曲でもありますね。なんか、生歌唱の方が、多分、これはうまく表現できないような曲になりそうだなとは、正直、思ってました……(笑)。生で何回か歌ったんですけど、まだあんまり歌いきれてないですね……(笑)、もっと自然に歌いたい……。



4 自身が作詞・作曲を担当した『心の傘』

〜「振り幅を出したかったアルバムでもあるので…」〜

ーー 林部智史 自らが作詞・作曲を担当した、藍色がイメージカラーの『心の傘』(作詞・作曲:林部智史 / 編曲:西村真吾)は、ディストーション・ギターが印象的なマイナー調、ミディアムテンポのロックだ。アルバム収録に先行して、今年、2023年2月に行われた 7周年記念コンサート『7th Anniversary Concert 〜虹めいて〜』(東京・サントリーホール)でも披露された。言葉が心に響く曲で、とくに「♪本音隠した心の傘は 大きく広げ陰を作った 雨よ 闇を流してしまえ 傷つくことを恐れた鎧を」「♪嵐よ 全て奪って行け 捨てられずにいるプライドとか 雨が上がり 空が笑えば 明日は何か変わるだろうか」のところが印象的だ。

 

林部: ありがとうございます。なんか、そういうことは、みんなあるんだろうな〜と思って。お客さんからは、7周年のコンサートで初めて歌ったあとに、ラジオのメッセージとかで、「僕の歌だと思う。僕の心の内を出してくれた」みたいなこと言ってくれましたけど、実は、そんなこともなく、一般的に……、だいたい、みんな、いろんなプライド持ってるし……。

 

ーー 「誰でもそれぞれ心の中に傘がある」ということだろう。誰もがドキッとさせられる内容だ。

 

林部: そうそうそう、みんな、自意識モンスターですからね。僕の中で「藍色」でロックを書きたかったっていうのがあって、だから、そんな心の叫びを書いてみたいってことで……。

 

ーー こういうディストーション・ギター入ったロックの感じも珍しい。

 

林部: そうですね。こういう機会じゃないと、なんか出せないですからね、逆に。

 

ーー 確かに、オリジナル・アルバムの前作『III』に入ってたら浮くかもしれない。

 

林部: そうそう、そうなんですよ。「こういう感じがあってもいいかな〜」と思ってはいるんですけど……。今回は、ちょっと自分の中で挑戦もしたかったですし、逆に、「オレンジ」の(『七つの子・その後』)ように振りたかった……、うん、振り幅を出したかったアルバムでもあるので、ちょっと振れてよかったなとは思いますね。

 

ーー 『心の傘』では、最後の「Oh〜」というスキャットも、力強くソウルフルな感じで新鮮だ。

 

林部: そうですね……、やっぱり、今まで出した声の中では一番大きい声だったので……。だから、普通に僕の中での歌であり、やっぱり叫びであるのか……。なので、マイクの距離はだいぶ取りましたね……、初めての距離感だったかなと思うんです。

 

ーー アルバム 7曲目、紫がイメージカラーの『やさしい眺め』(作詞:来生えつこ・林部智史 / 作曲:来生たかお / 編曲:出川和平)は、ミディアムテンポのボサノバ調で、マイナーから始まって、サビではメジャーに展開する。

 

林部: 先ほどもお話しさせていただいたように、『恋衣』(作詞:阿木燿子 / 作曲:来生たかお、2018年6月発売、4thシングル)の時に、来生(たかお)さんにいただいていたもう1曲の方なんです。このメロディーも素敵で、ディナーショーとかでもよく歌ってた歌なんですよ。

 

ーー 今回のアルバム『RAINBOW』に、紫のイメージで収録するにあたって歌詞を変更しているため、以前、ディナーショーなどで歌っていた時は、変更前のもとの歌詞だった。

 

林部: そうです、そうです。来生えつこ さんの歌詞で歌ってたんですけど、それは、どっちかって言ったら、色で言ったら、白っぽい美しい歌詞だったんですよね。

 

ーー 『シルエット・ロマンス』(大橋純子)、『セーラー服と機関銃』(薬師丸ひろ子)、『モンロー・ウォーク』南佳孝 / 郷ひろみ)などや、中森明菜の『スローモーション』『セカンド・ラブ』『サザン・ウインド』などの作詞で知られる 来生えつこ に、林部智史 は、臆することなく「歌詞を変えたい」と言ったようだ。

 

林部: はい、「変えさせてください」って言ったんですよ。でも、もしそれが駄目だったら、何かそのときはそのときで……、別曲になったか、また違う機会に出すのかってなったんですけど、「変えていいよ」「僕だったら変えていいよ」って 来生えつこ さんからおっしゃっていただいたので、元詞を、僕が「紫」に近づけていったんです。それで、ガラっと変わりましたね。

 

林部: で、曲調というかサウンドも変わりましたね。基本的なメロディがボサ(ノバ)だったので、それは変わらないんですけど、やっぱり、その真っ白な純粋な歌だったんですね。それを、どう「紫」に近づけるかっていうふうになったときに、やっぱ「紫」ってなかなか難しい色で……、だから、ちょっと「赤」と「青」で言葉遊びをして「紫」にしたりっていうのは、全部、僕がさせてもらいました。

 

ーー 今回のアルバムでは、それぞれのイメージカラーを知ってから聴くと、その色が浮かんでくるから見事だ。

 

林部: ありがとうございます。今回は『RAINBOW』っていうアルバムで、それぞれのテーマを持っての、色を持っての楽曲ですけど、だから、まあ、これから先、「こういうコンセプトで出したんだ」っていうことが伝わっても伝わらなくても、それぞれの1曲として、歌っていければいいなと思ってるんですけどね。

 


5 アルバム・コンセプトのきっかけとなった『虹めいて』

〜「"せーの" で歌って録ってます…」〜

ーー そして、「7組の作家による 七色の7曲」という今回のアルバムのコンセプトのもとになった『虹めいて (スペシャル・バージョン)』(作詞:阿木燿子 / 作曲:宇崎竜童 / 編曲:追川礼章 / コーラスアレンジ:榊原 暁)が、デラックス盤のボーナス・トラックとして、スペシャル・バージョンで 8曲目に収録されている。先に、林部智史 自身も話しているように、昨年、2022年11月に発売された 4枚目のオリジナル・アルバム『III』用の曲として、自ら 阿木燿子 と 宇崎竜童 のコンビに書き下ろしをお願いしに行って書き下ろされた曲だ。

 

林部: そうです。スタッフと一緒に行かせてもらって、で、「書いてください」って言ってお願いしました。で、もう、その日の夜に、阿木(燿子)さんが『虹めいて』って言葉がぱっと降ってきたらしくて……(笑)、で、『虹めいて』っていう言葉が出てきたんです。『虹めいて』って造語なんですけど、「ありそうな言葉だな……」と思ってたんですけどね。「2曲 作ってください」とかはもちろん言ってないんですけど、そしたら、(『七つの子・その後』と)2曲上がってきて……、っていうことでした。

 

ーー 『虹めいて』は、メジャー調のピアノバラードで、やさしいボーカルが印象的な曲だ。昨年、2022年11月に発売された 4枚目のオリジナル・アルバム『III』に収録されたバージョンと、サイズや基本的な雰囲気は変わっていないが、今回のスペシャル・バージョンでは、ストリングスが「The Voice of Japan (VOJA)」のコーラスに代わっていて、讃美歌のような、祈りの歌のようにも聴こえる。

 

林部: そいうですね。やっぱり「七」というのにこだわって、コーラスも「VOJA」の方も 7人で歌ってもらったんです。で、それは、(2月の)アニバーサリー・コンサートのときの見せ方として、7人 後ろについてもらって皆さんに聴いてもらいたいっていうのがあって、僕の中で「虹の歌声」ってなったときに、やっぱりハーモニーだったんですよね、最初は。それで『虹めいて』を 7人コーラスをつけて披露したっていうのが、最初にあって、なので、今回、ボーナストラックに、それをスペシャル・バージョンとして入れたいなと。

 

ーー 現代のレコーディングでは、ほとんどの場合、カラオケを先に録音しておいて、あとから、そこにメインの歌を録音するというやり方が一般的だが、今回の『虹めいて (スペシャル・バージョン)』では、コーラスの 7人と一緒に同時録音している。

 

林部: あっ、はい、「せーの」で歌って録ってます。これは、前回の(シングル)『La Rouge』(2023年5月31日発売)の時の(カップリング曲)『笑顔の虹』という楽曲も、「VOJA」の方 7人と歌ってるんですけど、その『笑顔の虹』と『虹めいて』を「せーの」で録ってみようってことになったんですよね。

 

ーー そうやって、コーラスと一緒に「せーの」で歌っているから、コーラスともぴったり息が合っている。

 

林部: はい、なので、お互いを見ながら、今回、リーダーを務めてくれた 榊原(暁)さんが指揮をしながら、みんなでやって……。

 

ーー だから、いいグルーヴ感のあるものになっている。

 

林部: ああ、そうですね。だから、録り直したりできなかったので、「最後が合わなかったね」っていうんで、「もう1回最初から」みたいな感じはありましたね……(笑)。

 

ーー 「せーの」でコーラスと一緒に同時録音するわけだから、誰か一人がどこか 1箇所ミスをしただけで、全てがやりなおしになってしまう。林部智史 自身も、コーラスの 7人も、相当なプレッシャーがかかる。

 

林部: でも、良くなったり悪くなったりするのは全員わかってるので……。それでも、5回 歌ってないぐらいですかね。やっぱり、(2月の)アニバーサリー・コンサートで、一度、本番のステージをやっていたのが大きかったかなと思いますね。

 

ーー しかも、この曲は、とにかく音域が広い。林部智史の場合、低いところも高いところも、あんまり声質が変わらないから、聴いていてそんなに感じないが、最初、かなり低い音から入って、サビではかなり高い音まで使っている。

 

林部: うん、音域、広いんですよ。なので、その、最初の音と 1オクターブ上のサビってなかなか珍しいんですけど、1オクターブ上ってことは、それ付近の音にも飛ぶので、普通に 2オクターブ以上ですかね。だから、あんまりツラそうに聴こえないといいな〜って。

 

ーー これまでも、林部智史の歌でツラそうに聴こえたことは一度もない。チカラではなく、響きで歌うから、リラックスして聴けるし、そこが 林部智史の歌の魅力だ。

 

林部: ありがとうございます。そうですね……、だから、もしかしたら、頭の低い方はマイクがないと聴こえないかもしれないですけど、でも、マイクがあるからこそできる箇所でもあるかもしれないです。ただ、宇崎(竜童)さんが曲を作ってる中で、「もうできてはいるんだけど、仮歌を入れる人がいないからちょっと待ってください」ってのが 1週間以上……(笑)。で、結局、仮歌の人も、すごい大変そうに歌ってて、全部サビは裏声で歌ってましたね……(笑)。

 

ーー 今回のアルバムのコンセプトは、この曲『虹めいて』が始まりであるし、これがあることで全部がまとまるから、デラックス盤のボーナス・トラックとは言え、必須の曲とも言える。

 

林部: そうですね。なので、「これは、もうボーナス・トラックでいいので」ってことで……。たしかに、まとめ上げたいなとは思いましたね。



6 もうひとつの活動、叙情歌カバー・アルバム『琴線歌』シリーズ

〜「そういったところを、僕は、あえて…」〜

ーー 林部智史のもうひとつの活動として、2018年の秋からは、ひらがな表記の「はやしべさとし」名義で、日本の唱歌や童謡など、美しい調べを歌い継ぐ叙情歌コンサートも開始し、2019年3月に、初の叙情歌アルバム『琴線歌 〜はやしべさとし 叙情歌を道づれに〜』をリリース。昨年までに 3作が発売されている。

 

ーー この『琴線歌』シリーズは、自身のレギュラー・ラジオ番組『叙情歌を道連れに』の番組内で歌った、とくに思い入れのある曲をまとめたもので、叙情歌アルバムと言っても、本当に唱歌や叙情歌だけというわけではなく、唱歌や叙情歌のほかにも、これまで、『ゴンドラの唄』『蘇州夜曲』『卒業写真』『秋桜』『希望』『愛燦燦』『翼をください』『いのちの歌』『切手のないおくりもの』……など「叙情歌的な歌謡曲やポップス」も含まれている。一瞬、バラバラのようにも感じるが、実際、聴いてみると、ピアノ1本と林部智史の歌のみで綴られたこのアルバムに違和感はないどころか、むしろ統一感を感じるし、「歌」の本質、楽曲が本来持つ魅力をあらためて感じさせてくれる。とても良質な音楽を聴いた気になる。とかく、疲れる音楽が多い中、リラックスできるアルバムだ。

 

ーー その叙情歌カバー・アルバム『琴線歌』シリーズ、第4弾となる最新作『琴線歌 其の四 ~はやしべさとし 叙情歌を道づれに~』が、今年、2023年1月に発売された。今作には、『夕焼け小焼け』『七つの子』『今日の日はさようなら』などの唱歌や叙情歌のほかに、『なごり雪』『旅立ちの日に』『学生時代』『いい日旅立ち』といった出会いや別れの歌、そして『仰げば尊し』『思い出のアルバム』といった、卒業式や卒園式で歌われてきた、いわゆる卒業ソングも収録されている。

 

林部: そうです、そうです。今回は、「旅立ち」ってところをテーマに作りました。まあ、卒業ソングが多くなったんですけど、大きなテーマを「卒業」ってしちゃうと……、なんか、やっぱり「旅立ち」の方がしっくりきたんですよね、今回は。もちろん、そこには、人の生き死にっていうところもからんできますし、「卒業」っていう言葉って、僕のこの『琴線歌』……、叙情歌コンサートもそうですけど、やっぱり、聴いていただいている 60代、70代、80代 の方にとっては、「卒業」っていうテーマよりも「旅立ち」っていう方が、しっくりくるのかなっていうことで選曲したわけです。

 

林部: そんな中でも、『仰げば尊し』は、僕も(卒業式で)歌ったんですけど、今は(卒業式で)歌われなくなった曲のひとつなんですよね。「わが師の恩」っていうのがネックで、「尊敬しなさい」っていう言葉だったりするので……、「わが師」っていうのがよくないらしいんですよね、それを子供に言わせるのはどうなんだっていう……、ヘンなこと言うな〜って思うんですけど……。なので、本当に、そういう話をしながら、逆に、叙情歌のコンサートでは歌うんですけど……、たとえば、他にもそういった曲が多くて、『竹田の子守唄』とかもそうですし、放送禁止になったりとか……。

 

林部: そういったところを、僕は、あえて……。まあ、その時の時代もあるし、そうやって学べばいいと思っているので、逆に、「今、こういうことで、歌われないんですよ」みたいなこと言って歌えるのは僕の中で新鮮だなと。なんかちょっと、社会というか、今の歌の風潮に抵抗したいみたいなところもあって、僕の中では、「なんかいいことやってるのかな」みたいな活動の1曲だなとは、『仰げば尊し』を歌ってて思ったりはしました。

 

ーー たしかに、『仰げば尊し』などは、歌った子供のころはなんとも思っていなかったが、大人になってから聴いた方が涙がでるものだ。

 

林部: いや、まさに、そうなんですよね。

 

ーー そんな叙情歌を歌い継ぐという活動の流れもあり、今年、2023年5月には、593年の創建から1400年以上の歴史があり、1996年に世界文化遺産に登録された広島の「嚴島神社」で、平和への願いを込めて『林部智史 嚴島神社 奉納演奏会』が 2日間にわたって開催された。もともと、2020年5月に予定されていたものだったが、コロナ禍で延期となっていたものだ。

 

林部: そうなんです。これも、まさに叙情歌が先にありまして……、叙情歌の旅が 2018年から始まって、その次の年、2019年に厳島神社に初めてスタッフと行って、「ここで歌えたらいいね」っていうことを決めたっていうのが流れなので、3年越しの開催ではあったんですけど、4年以上前から「歌えたらいいね」っていうところはありました。

 

林部: もともと、叙情歌を歌い始めたのが「観世能楽堂」(東京・銀座)でのステージが決まって、そこで叙情歌を初めて歌ったっていう流れがあったんです。なので、やっぱり、日本の懐かしき楽曲で、いろんな歴史のあるところで、この活動を通して歌っていけたらいいねっていうことはおのずと上がってきてて、「厳島神社」が、その大きなひとつだったんですけど、まだまだ歌いたいところもあったりします。たとえば、これまでも、(地元)山形の旧県庁で歌わせてもらったり、あと、「松本記念館」(東京、二子玉川「松本記念音楽迎賓館」)で歌ったりとかしてますけど、あと、もっといろんな寺院とか神社で歌えたらいいねっていうことを今ちょっと考えてる中での「厳島神社」でした。

 

ーー 第一夜「古からの美しき調べ」、第二夜「明日へ架ける歌」として 2日間にわったって行われた「嚴島神社」での奉納演奏会では、『荒城の月』『故郷』『四季の歌』『遠くへ行きたい』『一本の鉛筆』などとともに、自身のオリジナル曲『あいたい』『ラピスラズリの涙』『時を紡いで』『まあだだよ』なども歌われた。

 

ーー さらに、2日間とも、小椋佳がゲストとして出演し、自身の代表曲『愛燦燦』や『愛しき日々』をソロで歌うとともに、『少しは私に愛をください』『歓送の歌』を 林部智史 とデュエットした。さらに、小椋佳が 林部智史の 3rdアルバム『まあだだよ』(2021年1月 発売)のために書き下ろした『慈しむ人 美しい人』が、小椋佳の奉納曲として、林部智史 によって初披露された。この曲は、もともと、2020年に「嚴島神社」での奉納演奏会が予定されていたため、最初から「奉納曲」として書かれたものだった。

 

林部: そうなんです。なので、今まで歌ってこなくて、その時に初めて歌ったんですよ……、「最初はここで歌いたい」と思っていて。でも、なんか逆に、あと歌えないなっていうか……(笑)。「最初は」って言ってたんで、もう歌っていいんですけど、なんかこう、あの時の思い出が大きすぎて、それを散らしたくないなと思ったので……。なので、多分、次、歌う時は、(厳島神社の)第2回の時かなと……(笑)。だから、最初で最後にならないようにしたいなと思ってますけどね。

 

ーー そして、林部智史は、奉納曲として『人に在る為』という曲を書き下ろして歌った。

 

林部: そうです、そうです。小椋佳さんの奉納曲があって、で、やっぱり、僕自身、歌を書く身としては、自分の方の曲も作りたいなっていうことで作った楽曲なんです。

 

ーー この曲も、2020年ころには書いていたということだ。

 

林部: まさに、そうです。その時に歌おうと思っていましたから。で、2020年に開催する予定だったときって、大鳥居が改修工事をやってるときだったので、もし開催されたとしても、足場が付いた大鳥居だったんですよ。だから、今回、改修工事が終わってて良かったんですけど、でも、改修工事の方が珍しかったんですよ……(笑)。だから、僕は、それはそれでありだなと思ってて、そこに向けて書いた歌のひとつだったんですよ、『人に在る為』っていうのは。

 

林部:で、結局、「大鳥居がすげえな〜!」ってみんな見るけど、この改修工事してる姿が僕はすごいなって思って、これは、人がずっと守り続けているものだから、こういうのは失くしちゃいけないんだろうなっていうことで書いた歌だったので、改修工事がなかったらできなかった歌です……(笑)。

 

ーー この奉納曲として書かれ、奉納演奏会で歌われた『人に在る為』は、当然、これまでコンサートで歌われたこともなければ、CD 化もされていない。

 

林部: そうです、そうです。だから、今度の『琴線歌』には入れたいな〜と思ってます。

 

ーー 奉納演奏会というだけあって、今回、特別な衣装で歌った。

 

林部: そうそう、そうなんですよ。これまでに「嚴島神社」で歌われた藤井フミヤさんとか、奥田民生さんとか、柴咲コウさんとかの映像を取り寄せて見たりしたんですけど、やっぱり、藤井フミヤさんは、すごいフォーマルな格好で歌われてて、奥田民生さんは、いつものタオル巻いてて……、普通にやられてましたね……(笑)。

 

林部: で、「どうしようかな〜」とか思ったんですけど、みんな「着物だろうな、和服だろうな」っていうので期待されてたみたいなんですけど、あえて、ちょっと真ん中というか、中世貴族をイメージしたところにしました。

 

 

7 これからの林部智史

〜「挑戦し続けるコンサート・アーティストになっていきたいなと…」〜

ーー 林部智史は、これまで発売された オリジナル・アルバム 5作と、『琴線歌』シリーズ 4作のほかに、2018年10月に、『カタリベ 1』という ポップスをカバーしたアルバムもリリースしている。『糸』(中島みゆき)、『ごめんね…』(高橋真梨子)、『たしかなこと』(小田和正)、『瑠璃色の地球』(松田聖子)、『木蘭の涙』(スターダスト☆レビュー)、『行かないで』(玉置浩二)などから、阿部真央、秦基博 らといった 比較的、最近の J-POP のカバー曲も収録されている。『カタリベ 1』というアルバムタイトルから、これもシリーズ化されるものと考えられる。

 

林部: そうですね〜。(今回のオリジナル・アルバム『RAINBOW』の)次は、多分、『カタリベ 2』なんじゃないかなと思ってるんですけど……、順番的に。やっぱり、カバーを期待されている方も多いですし。で、まだ、会議してるところです。

 

林部: 逆に、僕の中では、オリジナル(アルバム)が、今回、通算5枚目になるわけなので、同じ感じでは行きたくなかったんですよ。「オリジナル 1」「カバー 1」「オリジナル 2」「カバー 2」……っていうのがいやで。で、やっぱり、これから先、僕は歌を作っていくにあたって、オリジナルの方が先行していきたいっていうのは、今でもそうだし、これからもずっと思っていくことだと思うんです。

 

林部: なので、バランス的に、今回の「5」(作目)が来たら、次(『カタリベ』の)「2」が来ないとおかしいな、っていうのがあるので、次はカバーを出したいなとは思ってるんですけど……。ま、カバーも、今、ちょっと振り幅がすごい大きくて、60年代とか70年代の曲もあれば、2000年以降の楽曲を歌ったり……、まあ、こっちの方が少ないかもしれないんですけど。でも、90年代の歌と 70年代の歌って全然違うので、なんかその出し方をどうしようかなって今考えているところですね。

 

ーー 振り幅があっても、林部智史が歌えば、違和感なく、全て林部智史の世界になってしまう。

 

林部: ああ〜……(笑)、ありがとうございます。だから、たとえば、(CD を)分けるとか……。僕は、分けて、どういう CD の動きになるのかちょっと見たいんですけどね。

 

ーー 今後、どういう活動をしていきたいのかを聞いた。

 

林部: そうですね、まだ『RAINBOW』のリリース前なので(取材時)、で、今回の秋冬のコンサート、ツアー(『林部智史 CONCERT TOUR 2023 ~朝虹は雨、夕虹は晴れ~』)が、今、決まっている段階で、初めてそのツアーで披露する楽曲が、『七つの子・その後』もそうですし『SUNNY-SIDE UP』もそうですし……、っていうところがあるので、なんかわりと正規に近いアルバムの持って行き方だな〜と思っていて……(笑)。

 

ーー 多くの歌手が、まず、CD をリリースすることを活動の中心にしているのに対し、林部智史の場合、あくまでもコンサートが活動の中心であるため、逆に、今回のように「アルバムを出してツアーをやる」ということの方が異例なのだ。

 

林部: そうですね。で、ツアータイトルもやっぱり「虹」にかけてますし、だから、まずは、ツアーに向けてやらせていただいてるところですけど……。その……、昨年くらいから、コンサートのあり方というか……、自分自身、もちろん「変わらぬ歌声で」とは思ってるんですけど、エンターテイメント的なところで、何かより聴き入っていただくように、いろんなエンターテイメントがあってもいいなと思ってますね。

 

ーー よりショーアップするということだろうか?

 

林部: そうですね。そう思ってて、昨年でいうと、たとえば、ナレーション入れながらコンサートしたり、今回の秋冬(ツアー)に関しても、そんなちょっとした動きを考えてたりしています。これは、短期的にも長期的にも言えることなんですけど、自分自身、プロとして「変わらぬ姿」、そして、「変わっていくステージ」っていうところを見せたいなとは思ってるので、僕自身、いろいろ挑戦し続けるコンサート・アーティストになっていきたいなとは思ってますね。

 

ーー 以前のインタビューの時に話していたように、「林部智史というジャンルになっていきたい」ということだろう。

 

林部: そうですね。いま、頑張らないといけないと思いますね。

 

ーー 林部智史 は、歌手デビュー前、EXILE のオーディションを受けたことがある(前回のインタビューで詳しく語ってくれているので、興味のある方は、そちらをお読みください。最下部にリンクを付けておきます)。だから、もしかしたら、EXILE のメンバーになっていたかもしれなかった。

 

林部: ならなくて良かったと思いますよ〜……(笑)。いや〜、でも……、まだ負け惜しみですね……。でも、やっぱり、EXILE はすごいですよね。大きな会場でやってるし、LDH グループの集客力は、今、ナンバーワンなんじゃないですかね。

 

ーー 今後、そういうアリーナクラスの大きな会場でコンサートをやってみたいとは思わないのだろうか?

 

林部: まあ、経験としてはやってみたいと思いますね。やって……、「もう、いいかな……」みたいな……(笑)。でも、武道館とか、自分が見に行ったりしても、パイプイスなんでお尻が痛くなりますよね。なので、お客さんにとってどうなのかとも思いますし……。

 

(取材日:2023年8月23日 / 取材・文:西山 寧)

 

 

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いろいろわかる… 林部智史、ロングインタビュー!(2021年9月)

 
 
 
 
 
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