不意に静寂が街をよぎったとき、
僕らはたしかになにかのはじまりを感じていた。
それがなんなのかは僕にはわからず、言葉にすることもできなかった。
ただそっと息をひそめ、みんなと目を見合わせて、うなずくばかりだった。
華やかさを競うようにひしめきあうネオンも、行き交う群衆も、
ぜんぶが透明な嘘のフィルター越しにあるみたいで、
不安で叫びだしたくなるような、
でもこの静けさを破ってはいけないような、そんな気持ちにさせられた。
「僕らが大人たちを追い越したのさ」
ひとりがそう言って笑いだして、みんな彼のほうを見た。
「この街で生きていると、そういう瞬間が訪れるものさ。
たぶんぜんぶ光と音と若さゆえの加速度のしわざだと思う。
そのあいだ僕らはギターを持たないロック・スターで、
国を持たない大統領で、ロケットを持たない宇宙飛行士で、
とにかく無敵の存在なんだ。
そして今夜だけ僕らは、誰にも知られずに永遠の命を手に入れるのさ」
僕らはたしかになにかのはじまりを感じていた。
それがなんなのかは僕にはわからず、言葉にすることもできなかった。
ただそっと息をひそめ、みんなと目を見合わせて、うなずくばかりだった。
華やかさを競うようにひしめきあうネオンも、行き交う群衆も、
ぜんぶが透明な嘘のフィルター越しにあるみたいで、
不安で叫びだしたくなるような、
でもこの静けさを破ってはいけないような、そんな気持ちにさせられた。
「僕らが大人たちを追い越したのさ」
ひとりがそう言って笑いだして、みんな彼のほうを見た。
「この街で生きていると、そういう瞬間が訪れるものさ。
たぶんぜんぶ光と音と若さゆえの加速度のしわざだと思う。
そのあいだ僕らはギターを持たないロック・スターで、
国を持たない大統領で、ロケットを持たない宇宙飛行士で、
とにかく無敵の存在なんだ。
そして今夜だけ僕らは、誰にも知られずに永遠の命を手に入れるのさ」
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