大阪へやって来た

友部正人

大阪へやって来た

作詞:友部正人
作曲:友部正人
発売日:2002/10/09
この曲の表示回数:30,041回

大阪へやって来た
南へ下る道路には避難民があふれ
僕は10トントラックで大阪へやって来た
インターチェンジはいつも雨の匂いでいっぱい
だから僕はやせながらぬれて立つ

それはほんのささいなことで
僕は酔っぱらっていたのかも知れないんだけど
僕がやって来た夜
御堂筋はレース場で 心斎橋はこの世の人だまり
その中を真夜中にうろつく僕には今
何の地位も将来も約束されてはいない

南へ下る道路には避難民があふれ
僕は10トントラックで大阪へやって来た
インターチェンジはいつも雨の匂いでいっぱい
だから僕はやせながらぬれて立つ

スポーツ新聞はいつも阪神のことばかりかきたてている
おおげさな競馬の報道は貧乏人をくいものにするし
うたいたかったけどそんな場所もなくて
僕はいつも求人広告を持ち歩いたんだ
でも行ってみるといつもだまされてしまう
尼ガ崎の鉄工所へ行った時なんか たった千円しかくれないし
その上命の保障もないんだ

南へ下る道路には避難民があふれ
僕は10トントラックで大阪へやって来た
インターチェンジはいつも雨の匂いでいっぱい
だから僕はやせながらぬれて立つ

友だちもいつか名前だけになってしまうことを知っている
いつのまにか手をとり合うだけのエゴイズムと
すり変わってしまうんだ
長髪を風になびかせる自称ヒッピーたちでさえ
新しいコートがなかなか肌になじまないこと知っている
ものすごくたくさんの広告がいろんなスタイルを要求するけど
でも家をでることだけが自由じゃないと思うんだ
あれはいけない これがいいのさ でももう結構
僕は誰が素敵な奴かを知っている

南へ下る道路には避難民があふれ
僕は10トントラックで大阪へやって来た
インターチェンジはいつも雨の匂いでいっぱい
だから僕はやせながらぬれて立つ

何もかも関係なくなればいいと思うことがある
とても眠たい朝 僕は大阪駅に立たずんでいたんだ
そうさ 誰もがあせりすぎているんだ
走って行く人 ころぶ人 くつを忘れた人
かかとがかけてしまって歩けない人
朝から晩までラッシュアワーだ
まるで恋をする勇気もないまま

僕もあんたもうらみ合いをくり返している
夜にはひま人が金と麻薬を持ち歩く
もし君が宿なしなら夜中にうろつかない方がいいよ
ましてやポケットに百円ももってないなら
へたするとやくざとおまわりの思いのままになってしまうよ

誰かが言ってたっけ? お前は気楽に暮らしてていいって
じょうだんじゃないや 何が気楽なもんか
いつまでたったって落ちつくあてもなく
まるでいくじがないまま まだフラフラしている
一年中わびしくてやりきれない町 それが大阪
でもそれがいいのかもしれないなと思う時がある

クリスマスにあの娘に赤ちゃんが生まれるんだって
とても小さな女の子でみんなでかけたんだ
顔のぞきこんで 男か女か
今じゃその娘タバコもラリることもやめたんだ
みんなでおいわいしてあげたいんだけど
その娘大阪の女の子なんだよ

南へ下る道路には避難民があふれ
僕は10トントラックで大阪へやって来た
インターチェンジはいつも雨の匂いでいっぱい
だから僕はやせながらぬれて立つ

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