うさぎ

森進一

うさぎ

作詞:保富康午
作曲:猪俣公章
発売日:1998/11/06
この曲の表示回数:44,807回

うさぎ
あの日はほんとに暑かった
村へと続く白い道
かげろうだけが揺れていた
夢中でぼくは 走ってた
母さん 待っててすぐ帰る
大事な仕事忘れてた

女手ひとつで ぼくたちを
育ててくれた母さんは
落した肩で うなずいて
遠くの村をみつめてた
貧しくひなびたあの村は
悲しく捨てた ふるさとさ

親子で荷物を持ちあって
真夏の道を港まで
おさない末の弟は
疲れて泣いて しゃがみこむ
おぶってやろうと思っても
許しておくれ 無理だった

「ようやく港に着いた時
突然ぼくは 思いだす
小学校の夏休みに
うさぎの係をしてたこと
このまま出かけてしまったら
うさぎは餓えて死ぬだろう」

あわてて駆け出すぼくだった
今来た道を学校へ
おなかを空かす つらさなら
誰よりぼくが知っている
待ちかねていた うさぎたち
さし出すエサに飛んでくる

埃(ほこり)にまみれてたどり着く
港に船はもういない
今度の船が出るまでに
どれだけ長く待つことか
それでも母さん ひとことも
叱らずぼくに ほほえんだ

母さんなにより嬉しいよ
こんなにつらい時でさえ
やさしい心忘れない
おまえは強い男の子
めったに泣かない母さんの
まぶたが濡れて光ってた

あれから何年たったかな
苦しい時が来るたびに
白いうさぎを思い出す
母さんの目を思い出す
いっしょうけんめい生きてます
母さんほめてくれますか
いっしょうけんめい生きてます
母さん泣いてくれますか
母さん… 母さん…
母さん… 母さん…

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