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うちの制作チームは、歌詞をとても重視していますし、言葉へのこだわりが異常に強いですね。例えばPVには歌詞テロップを入れたり、歌詞サイトに早めに内容を送ったりしています。また、新しく見つけていくアーティストも、歌詞が強いかどうかを見極めますね。シグマの制作チームの強みのひとつは、歌詞へのこだわりだと思います。
今は、通勤や通学途中にイヤフォンで音楽を聴くことが多くなっていますが、完全に自分だけの世界に入るので、より言葉が大事だと思うんです。ですから、聴く人が感情移入できる、リアルに共感できる歌詞を、制作段階で常に意識しています。 |
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中村 卓 氏 |
KARAの日本デビューのケースをお話ししますね。従来のK-POPはサウンド感が一番の魅力だったと思うんです。そのせいか、顕著に音楽配信のチャートが弱くて、「どうしたらK-POPのガールズグループが受け入れられるか?」「音楽配信を強くするにはどうしたら良いか?」ということを考えた時に、歌詞を重視することだろうと思ったんです。それで、レコーディングでも、日本語詞の聴き取り易さと内容がしっかり伝わる事を最も意識しました。
KARAの場合、まずその曲のコンセプトを決めます。1曲に対して最低50パターン以上の歌詞を集めて、「ストーリー」「メロディへの言葉のはまり」「言葉のインパクト」「キャッチーさ」「歌い心地」などで絞りこんでいきます。 |
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他のアーティストでも同じことが言えます。TEEの「すごく好きなんだけど、あなたの左手の薬指には誰かの影がある…」という言い方や、Julietの「女の子の恋愛は全部上書きしていくことが出来るけど、なんで男の恋愛は上書きできないんだろう?」といったような、今の時代の言葉を使っての表現、さらにナオト・インティライミの「僕の左側をいつも歩きたがる君の右手を、僕の左手でぎゅっとつかんで離さない…」なんて歌詞は、めちゃめちゃリアルですよね。Ms.OOJAの「もしもこの未来にあなたがいるのなら思い描いた景色も変わるのかな…」という部分で涙する女性も多いですね。 |
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前者は、聴く人が「ああ、こういうことあった…」とか「コレ…あたしのこと歌ってくれてる…」みたいなリアルな感情ですね。つまり、「共感」の下にあるのは「物語」であり「感動」であり、「喜び」「悲しみ」「苦しみ」であり、それらを全て合わせたようなもの。また、後者は、「言葉のキャッチーさ」や「言葉のはまり」「タイトルの強さ」など。そして、この2つの軸がはまった時に、素晴らしい歌詞となり、曲となり、それが最終的に皆さんに受け入れられるのだと思います。 |
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(ユニバーサル シグマ / マネージング・ディレクター代行 兼 制作本部 本部長 兼 第1制作部 部長 中村 卓 氏 談) |