昨年もこの時期に言ってた気がするが、今年こそ、いつもの感じでライブを楽しみたいものである。ただ、人生に無駄な経験などないわけで、「マスク着用・声だし禁止」を、今後に活かすことだって可能なのかもしれない。
というのも、ライブでいくら盛り上がるといっても、まずは音楽を聴かなければ始まらない。[声だし禁止]を、その再認識の場として捉えるのはどうだろう。
実際のところ、最近ライブ会場に足を運んだヒトは、普段より聴くことに軸を置いて客席に居たはずだ。アーティストのなかには、だったらノレる曲よりバラードに磨きをかけようと思ったヒトだって居たはずだ。それも貴重な経験、今後に活かせるゾと考えたなら、少しはポジティヴになれるのだ。
というのも、ライブでいくら盛り上がるといっても、まずは音楽を聴かなければ始まらない。[声だし禁止]を、その再認識の場として捉えるのはどうだろう。
実際のところ、最近ライブ会場に足を運んだヒトは、普段より聴くことに軸を置いて客席に居たはずだ。アーティストのなかには、だったらノレる曲よりバラードに磨きをかけようと思ったヒトだって居たはずだ。それも貴重な経験、今後に活かせるゾと考えたなら、少しはポジティヴになれるのだ。
2021年1月13日発売
キュウソネコカミ「3minutes」
さて本題。今回は、2022年、客席で思いっきりハジけたい!という願いを込め、ライブに関する楽曲や、ライブを盛り上げてきた歴史的名曲を取り上げることにした。まずは[ライブハウス編]。昨年の1月に発表された、キュウソネコカミの「3minutes」だ。
胸がすくストレートなライブハウス讃歌である。それを平時ではなく、クラスターの震源地のごとく叩かれた有事に送りだしたことは賞賛に値する。
歌詞をみると、[無くても死なない]という言葉が印象的に登場している。そういや一時期、ライブハウス不要論が吹き荒れた。もちろん、そこに反応してのフレーズだ。
歌詞の工夫としては、この言葉が繰り返し、でも二度目は[無くても死なない?]と疑問文にして世の中へブーメランしてる点だ。歌全体としては、いかに自分たちがこの場所で生きがいをみつけてきたかが情熱的に描かれている。
歌詞を眺めずに聴くと、ハッキリとは聞き取れないが(少なくとも僕の耳には)、冒頭、いきなり[密集!密閉!!密接!!!]という言葉が歌われる。「密」の一文字が社会のNGワードである昨今だが、あえてこの言葉を引っ込めず、それがライブハウスの醍醐味だと主張。
でも、単なるパンク精神じゃなく、近未来の時間の帯に、希望のタイムカプセルのごとくこの言葉を埋めている。そんな光景が、まさに目の前で繰り広げられる日が、一秒でも早く訪れることを願いたい。
2003年3月26日発売
B'z「IT'S SHOWTIME!!」さて、ライブ・ハウスで名をあげたバンドは、ホールを経験し、やがてアリーナ~スタジアム・クラスを満杯にする。次は、そんなライブの醍醐味を歌った作品を紹介する。B'zが2003年にリリースした「IT'S SHOWTIME!!」である。
この曲自体、同年のツアーのテーマのようになっていて、まさにこれぞ、五感を奮わす彼らのコンサートの魅力を、余すところなく数分間にパッケージしたものなのである。
このコラムらしく、歌詞の細かなところへ言及してみたい。観客たちの入場シーンから始まる冒頭で、これはスタジアムでの光景であることが伺える。屋内では、[サーチライトが空を]とはならないからだ。
さらにそこに、[ぞくっと][うずく]といった、理性を超越してくワードが散りばめられている。そのあと注目したいのは[傷だらけの腕][振り上げて]のところ。なぜ“傷だらけ”なのだろうか。
それは私たちが、勉強だ仕事だ人間関係だなんだかんやと、日々ストレスに苛まれ、まさに心が“傷だらけ”ということだろう。しかしライブ会場では、いったんそんなものはかなぐり捨てることを提案している。私たちが手に入れたいのは[悔いのない時間]だ。
観客、つまり受け手主体で描いているようでいて、アーティスト、そう、送り手の気持ちも同時に描いた歌としても聴ける。[キミだけが ボクを変える]というのは、みなさんの熱い声援がステージに届けば、我々はもっともっとパフォーマンスの質を上げますよ、という、相乗効果への言及だ。
1993年3月3日発売
CHAGE and ASKA「YAH YAH YAH」最後にこのジャンルの歴史的名曲を取り上げたい。僕が何十年もこの業界にいて、最初に思い浮かぶライブ映えする名曲といえば、なんといってもチャゲアスの「YAH YAH YAH」なのだ。
世の中には、彼らが好きだというヒトもいれば、ダサいと思っているヒトもいる。でも、たとえ後者であっても、この作品は認めざるを得ないだろう。なぜならこの曲には、気づけば盛り上がってしまうような「魔法」が仕込まれているからである。
それはもちろんサビの部分。[YAH YAH YAH]と大合唱するところ。ポイントは、オーディエンス全員が参加できるよう(誰ひとり置いてきぼりにしないよう)工夫されている点だ。そのあたり、実にベネフィット(公益性)に富んだ楽曲といえる。
曲を聴けばお分かりだろうが、まずサビに移る前、微妙なタメ(休符)がある。ここは、言葉には出さないものの、“さぁみなさん、ご一緒に!”と促してる部分だ。
さらに、通常の楽曲はサビで最高潮へ達するが、この曲はむしろ、テンポ感も含め、むしろここでトーン・ダウンする。そのことで、歌が得意なわけじゃないけど声を出したい人達に対しても、気後れしない雰囲気を醸しだしていくのだ。
そして[YAH YAH YAH]が始まってみると、ただしゃにむに叫ぶだけじゃなく、参加した全員に対して、飽きがこない工夫が施される。実にメロディアスな作りになっている。なので唱和して、実に気持ちがいい。
クイーン「ウィ・ウィル・ロック・ユー」
ライブを盛り上げる歴史的な名曲をもうひとつ。ただ、当コラムとしては反則かもしれない洋楽だ。とはいえCMでも大量露出し、ほとんどの方がご存じだと思うのでお許しを。クイーンの「ウィ・ウィル・ロック・ユー」である。こちらも老若男女をまきこみ、ステージと客席を一体化させる作品の典型だ。
イントロからしてライブを盛り上げる仕掛けがある。また、歌詞全体のストーリーとは別に、効果的なキラー・ワードが散りばめられている。
手拍子・足拍子を誘うイントロだ。そして、歌詞の冒頭に出てくるのは[make a big noise]という言葉。手拍子・足拍子を、さらに助長させる。
そしてもちろん、サビの[We will we will rock you]である。ここを大合唱したなら、まさにステージと客席の境が取り払われる。その場にいる全員が“We”というひとつになれる。世界中のアーティストがこういう楽曲を作ろうと苦心してきたが、なかなかここまでのものは作れていないようだ。
小貫信昭の名曲!言葉の魔法 Back Number
近況報告 小貫 信昭
(おぬきのぶあき)
正月に、コンビニの推しもの商品を一流シェフが合否判定する番組を見て、そのあとローソンにピリ辛味のカラアゲ君を買いに走った私なのですが、あの番組、ちょっとその後、ネットでケムリが立ち上ったようです。というのも、おにぎりを判定する際、あるシェフが、試食を拒否したからなのです。それは許されるのか、と…。しかし見ていた僕に言わせると、実はその商品というのが“ツナマヨ”だったことに注目しました。そもそも、“ツナマヨ”というのは実に好き嫌いの分かれるものです。それを認めるかどうかから判断して欲しかったのです(笑)。
正月に、コンビニの推しもの商品を一流シェフが合否判定する番組を見て、そのあとローソンにピリ辛味のカラアゲ君を買いに走った私なのですが、あの番組、ちょっとその後、ネットでケムリが立ち上ったようです。というのも、おにぎりを判定する際、あるシェフが、試食を拒否したからなのです。それは許されるのか、と…。しかし見ていた僕に言わせると、実はその商品というのが“ツナマヨ”だったことに注目しました。そもそも、“ツナマヨ”というのは実に好き嫌いの分かれるものです。それを認めるかどうかから判断して欲しかったのです(笑)。