初のアルバムでは「自分で音楽を“0”から“1”にしてみたい」という想いもあったという
桐谷。そんな<挑戦魂>は、役者として、アーティストとして、人間として彼の最大の魅力ですよね…!今回のインタビューでは、ニューアルバムへの想いをはじめ、常に「好き」と「楽しい」をすべての原動力にして突き進んできた彼のアツい軌跡についてもたっぷりお伺いしました!
晴れの日 雨の日 君への帰り道 僕の過去は 光に溶けてく
神さまの音が香る
躓いても 空(うえ)を見れば 愛しい君が笑ってる
俯いても 大地(した)を見れば 温かい手がそこにある
生まれたその理由(わけ)を 僕は今気付いたよ もっと歌詞を見る
ついに1stアルバムリリースですね!桐谷さんは昔から音楽がお好きだったのでしょうか。
桐谷:めちゃくちゃ好きでした。子どもの頃、オカンは寝る前に必ずモーツァルトを流してくれて。あと“キタロウ”とか。あ、ゲゲゲの鬼太郎ちゃいますよ?シンセサイザーの喜多郎(笑)。あとオカンもアニキもギター弾けますし、オトンも歌が好きでシャンソンとかよう歌ってました。だから常に身近に音楽があったんです。自分が初めて出会った楽器はドラムで、高校の軽音楽部の時でしたね。文化祭でボーカルとして出たりもしつつ、ドラムメインでやっていました
思春期の頃はどんな曲を聴いていたのですか?
桐谷:えっとねぇ…まず最初に買ったカセットテープは『ドラゴンクエスト3』だったかな。すぎやまこういちさんの音楽ってすごいカッコイイじゃないですか。で、小6でKANの「愛は勝つ」。これは買っとかなアカンやろと。中高では“THE BOOM”や“ユニコーン”を聴いてました。でもわりとオールジャンル好きだったと思います。文化祭なんてTHE BOOMとオジー・オズボーンとニルヴァーナやってましたからね(笑)。高校卒業してからは“くるり”ええなぁって。色んな曲を友達とカラオケで歌うのも好きだったけど、当時はこんな風に自分が歌を出したりするなんて思ったこともなかったです。
桐谷さんの歌声は人を惹きつけるというか、魂を震わせる声だと思います。音楽の方の道へ行こうと思ったことはなかったのですか?
桐谷:「ステージで歌うのってええなぁ…!」って憧れはありました。でもそれ以上に、俺は5歳くらいからずっと役者をやりたかったんですよね。役の中でいろんなことが出来るじゃないですか。「きっと歌を歌うような役もいつかあるだろう」とも無意識に思っていて、実際まさにそうなったし。ただ、20代後半〜30代になったあたりから、カラオケで歌うと「めっちゃ良いね!絶対に歌をやった方が良いよ!」とか言ってもらえるようになってきて。その頃から「マジで?」って少しずつ意識し始めた感覚はあります。
そしてその歌声が多くの方に伝わるきっかけとなった楽曲が、auのCM“三太郎シリーズ”で浦島太郎として歌った「海の声」ですね。
桐谷:これをレコーディングして、ほぼ完成状態のものを送ってもらったのがちょうど映画『TOO YOUNG TO DIE!』を撮影している時だったんです。去年の6月かな。その音源を撮影前にスタジオで初めて聴いて、俺はもうあの全身緑色の鬼の格好で泣きましたよ(笑)。ホンマにええ歌やなぁ…と思って。周りから見たら「こっわぁ!鬼が泣いてるで!」って感じですよね(笑)。共演しているTOKIOの長瀬智也くんにも聴いてもらったんですけど「いや、良いよ健太、コレ」ってすごく褒めてくれて。その時のことは未だによく覚えていますね。
この歌は、もう国民的な大ヒットとなっていますが、ご自身ではどのようなところから反響を感じますか?
桐谷:まず子供たちがめっちゃ歌ってくれているんですよねぇ。散歩していても、公園におっても聴こえてくるし。俺を見つけて幼稚園児20人くらいが「浦ちゃんやー!」って駆け寄ってきて、みんなで歌い出したり(笑)。あと70代、80代の方から「人生で初めてのファンレターです。『海の声』を聴いて感動しました」という手紙を達筆な字で頂いたり。真っ直ぐな歌詞や、優しいメロディーが幅広い世代の人たちに届いていて、しかも聴くだけじゃなく、歌ってもらえているということがホンマに嬉しいです。いい歌に出会えたなぁと思います。
カラオケランキングでもずっと上位ですよね!
桐谷:本当に凄いことだと思います。そしてまさか自分が役者人生で“浦島太郎”をやるとは思わなかったですし、三線を弾きながら歌って、しかもそれが配信されるなんて想像もできませんでした。最初は「CMでこの歌を歌って、いろんな人に聴いてもらえんねや!」ってただ嬉しくて、ちゃんと想いを込めようということしか考えてなかったです。でもそうやって命を吹き込んだものが、少しずつ繋がっていって、歌番組まで出させていただいて、気がついたら明日(9月2日)でMステ出演も5回目なんですよ!なんか…こういうこともあんねんなぁって思いますね。
桐谷さんが「海の声」を歌う姿を見て、涙する方も多いそうです。実際に私も音楽番組で泣いてしまいました。桐谷さんは何を思いながらこの歌を歌っているのでしょうか。
桐谷:「海の声」がなんでこんなに多くの方から愛してもらえているのかっていうと、やっぱり誰かや何かを想う歌やからだと思うんです。その相手は恋人だったり、友達だったり、家族だったり、自然や動物だったりそれぞれですけど、きっとみんなに共通している気持ちですよね。だから俺も大切な人達を想って歌うことが多いですね。それに加えて、東北の友達から聞いたことだったり、近くにいる人の笑っている顔だったり、もう会えない人だったり、会ったこともない誰かに届くようにという想いだったり、天国でこの歌を誰かがこの世の誰かに向けて歌っている姿だったり、色んなものが頭に浮かぶかなぁ。「海の声」を歌っていると、改めて大切な人と出会えた人生のありがたみを感じるんです。
そうですね。この歌を聴くたびに多くの人が自分にとって大切な人や大切なものを思い浮かべるのではないでしょうか。
桐谷:なんかもう、俺は代表して歌わしてもらっているだけで、この歌はひとりひとりの歌というか、“その人の歌”になっていることがすごいなぁって。しかも作詞の人、作曲の人、歌う人、みんなバラバラじゃないですか。でもそれぞれが自分にできることをやり尽くした結果、こうやって伝わっていったということがめちゃくちゃ素敵な出来事だなぁと思います。それが「海の声」の奇跡なんじゃないですかね。