1位は、『僕の初恋をキミに捧ぐ』から平井堅の「僕は君に恋をする」、2位には『カイジ 人生逆転ゲーム』からYUIの「It's all too much」と最新の全国上映系ヒット作の主題歌が並んだ。(4位には、同映画劇中歌「Never say die」もランクイン。)前者は、幼なじみの男女が主人公の純愛モノ、後者は青年が命懸けでギャンブルに挑むサバイバルもので、ストーリー面においてはヒットの方程式はないようだ。
しかし、上位作品の原作を追ってみると、1位から5位まで人気マンガが独占。上位12作を見ても、その半数以上がマンガ、2作が携帯小説と、ヤング層の文化とリンクしたものが大半で、そこから映画がヤング層に人気となり、その主題歌の歌詞もこうやって頻繁にチェックされているようだ。
しかも、上位作の約半数は、映画だけではなく、公開前にテレビでも放映されている。この背景には、テレビのCM広告収入が減る分を、事業収入の増幅で補強しているという、テレビ業界の現状が反映されているようだ。つまり、“間違いがない”ヒットを出すために、既に若者に人気の原作(マンガやケータイ)→ドラマでヒット→映画でもヒット(興行収入)→その一連の主題歌もヒット(印税収入)、といった図式を徹底しているように見て取れる。
そのように書くと、“売れるもの”は最初からほぼ決まっているようにも思えるが、“売れ続けるもの”は、やはり楽曲のチカラ、アーティストのチカラによるものだろう。5位の嵐「One Love」、6位のHY「366日」などは1年以上前の作品で、歌詞検索やカラオケでヒットを続けている。(なお、11位と12位の絢香は、映画効果というよりも、9月発売のベスト盤の大ヒットによる相乗効果が大きい。)
以上のように、映画タイアップ曲の大半は邦画だが、最近では『ワイルド・スピードMAX』にガゼットの「
BEFORE I DECAY」、『私の中のあなた』に一青窈の「
うんと幸せ」など、洋画界にも邦楽のイメージソングが付くなど、やはり映画は“おいしい”タイアップとして注目され続けている。その中で、嵐やHYのように、映画を想起させつつも、ラブソングの定番として進展していくヒットをどれだけ作れるかが、今の音楽業界のカギではないだろうか。