1位は西野カナの「Best Friend」。女の子同士の友情を歌ったもので、必ずしも"卒業ソング"ではないが、春めいたCDジャケット、2月というCD発売タイミングなど、明らかにこの時期を意識しているだろう。その戦略が奏功して、CD、着うた共に自己最高売上となりそうだ。
2位は、北乃きいのデビュー曲で、こちらは直球の桜ソング。受験ソングとしてのW効果もあって、今季の桜ソングとして目下のところトップだ。3位は、いきものがかりの「YELL」。昨年9月から、NHK「みんなのうた」&「全国学校音楽コンクール」課題曲として人気、その後、NHK紅白歌合戦での歌唱で更に広がり、ここへ来て卒業ソングとして更に注目されている。上記の流れは2008年〜2009年にアンジェラ・アキ「手紙」(今回13位)でも見られた現象で、2010年もこのNHK効果が期待できそうだ。
また、参考までに、着うたフルの月間ランキング(レコチョク調べ、3月度)で、桜&卒業ソングTOP5を見たところ、①「Best Friend」(西野カナ)②「サクラサク」(北乃きい)③「さくら」(ケツメイシ)④「YELL」(いきものがかり)⑤「3月9日」(レミオロメン)と5曲中4曲が歌詞検索の人気と同調しており、いかに両者の相性が良いかが分かる。(なお、ケツメイシ「さくら」は、今年3月に初めてフル音源の配信が解禁されたこともあり、大きく配信数を伸ばした。)
他方、着うたもそこそこに強いが、それ以上に歌詞検索で強いのがFUNKY MONKEY BABYSだ。彼らは5位の「桜」、15位の「Lovin' Life」、17位の「旅立ち」と3曲がTOP20にランクイン。彼らの熱いメッセージ性が、感情の高揚感とマッチしているのだろう。それにしても3人の平均年齢は約30才というのに、青くさい楽曲を送り続け、そしてそれが高く支持され続けているというのは凄いことだ。ある意味、"ポスト・サザン"に最も近い位置なのかもしれない。
その他、全体を見てみると、4位のレミオロメン「3月9日」、10位の嵐「サクラ咲ケ」、14位のKiroro「Best Friend」と、5年以上前の楽曲もランクイン。これらは、ケツメイシ「さくら」やコブクロの「桜」、福山雅治「桜坂」に比べれば、決してCDや着うたの売上げも多くはない。ただし、後者の有名どころは、既に歌詞を憶えている人も多そうだ。(それでも着うたが伸びているということは、既にCDで知っていても、過去を懐かしんで着うたで購入する人が多いのだろう。)これに対し、前者の3曲は、新たに歌詞を気にする若いファンが多いと推測できる。その意味で、古い楽曲でも、何らかのキッカケで歌詞が脚光を浴びれば、そこから新たな名曲が生まれうるということが分かる。
以上、様々な桜&卒業ソングの名曲を見てみたが、TOP15内でここ1年での新人は北乃きいのみで、彼女も人気女優としての知名度が先行したヒットであり、この路線は、意外と実力者しか通れない"狭き門"であることも分かる。音楽関係者の皆様には、安易に(?)桜や卒業に頼ることなく、じっくりと新人を育てていただきたい。