まず、TOP10を見ると、ドラマタイアップソングの上位10曲までが、総合でTOP30に入っている。これは、他のタイアップと比べても圧倒的に強く、やはり現在でもその影響力の高さが分かる。しかも、上位4曲中3曲までがTBS系列の学園モノが占めている。2位の嵐「MOSTER」は、タイアップにさほど関係なく"嵐"という社会現象ヒットなので、実質的には上位すべてがTBSの学園モノということになる。90年代では、フジテレビ(特に月9)系列の大学生や若手社会人の恋愛ドラマが人気の中心だったが、少なくとも現在の歌詞人気ではより若年層にシフトしているようだ。なお、6位の西野カナ「もっと・・・」は、2009年の深夜ドラマの主題歌だったので、これはタイアップというよりも、楽曲自体のロングヒットが現れているのだろう。特に、6月23日に発売された2ndアルバムのCMスポットやその後の大ヒット感が大きく影響していると思われる。
次に、TOP10中4位、5位、9位、10位の4組が、ドラマタイアップで大きく飛躍したというのもポイントだ。つまり、依然として新人ブレイクへの影響力が強いのだ。特に、デビュー3年目のHoney L Daysは、デビュー2年以内に芽が出ないとレコード会社との契約を切られるアーティストも多い世知辛い現状と照らし合わせると、ブレイクして本当に良かったと思う。同時に、7位の久保田利伸など、若手だけではなく実力派のベテランを再ブレイクさせる重要なタイアップでもある。
そして、この6月集計で前月よりも急上昇した楽曲が多いということも興味深い。余程の人気作でない限り、大半のドラマは、メディア等で取り上げられるピークは4月にあり、またタイアップ曲の着うたランキングのピークは、その配信が開始されたばかりの4月末〜5月にある。しかし、歌詞検索のピークは6月にあるものが多いのだ。これは、最終回近辺になると、タイアップ楽曲が重要なシーンで流れることが多く(場合によってはフルコーラス流れることも)、その感情面での高まりもあって、歌詞チェックをする人が特に多いのではないだろうか。勿論、CDや着うたも同じタイミングで多少再浮上はするが、この歌詞検索数ほど顕著ではない。つまり、それだけ歌詞というのは、非常に幅広いドラマ視聴者に気にされているのだ。
以上のように、ドラマタイアップは、依然として大きな影響力を持ち、しかもそれは、いわばライトユーザーに向けてより顕著であることが分かった。考えてみれば、大容量ハードディスクや(違法を含めた)動画サイトなど、視聴率には関係しない所での視聴は充実するばかりだし、またその番組についての話題も従来のように通学時の電車や給湯室で語る必要などなく、ネットで見知らぬ人と交わす人も多いのだ。そう考えれば、伝達ツールがどうであれ、最も大事なのはしっかりとしたコンテンツ作りだとあらためて分かる。これは音楽についても同様だろう。