さて、今回のランキングを見てみると、総合TOP200に17曲もの“数字うた”があった。昨年同時期の総合TOP200内では“数字うた”は10曲なので、なんと7割も増えている。この要因としては、AKB48の社会現象による数字ネーミングの増加もあろうが、8位のレミオロメンや11位のアンジェラ・アキのように数字や年齢を絡めたメディア・プロモーションが出来ることや、その数字の面白さ自体が話題になるなど、とりわけ情報が氾濫する現代では、このフックがよりヒットに結びつきやすいのかもしれない。
“数字うた”の1位と2位には、ともに“ひとつうた”がランクイン。1位は、ドラマ『美咲ナンバーワン!!』の主題歌で、落ちこぼれ扱いされる高校生を応援する言葉として、また、2位は、『ABC夏の高校野球』応援ソングとして、それぞれ“(何か/あと)ひとつ”という数字が胸にグッとくるので、これだけ強い支持を得ているのだろう。
4位と5位は、“ソナポケ=100”と印象付けた2曲がランクインしており、彼らの再ブレイクに数字が大きく関与していそうだ(この戦略を考えた方、お見事!)。その他、上位15曲の中では、6位のMr.Children「365日」と、15位のHYが「366日」が、共に1年に絡めたタイトルだが、それぞれ「なぜこの日数なんだろう?」って気になったことが、楽曲を好きになるキッカケになった人も多いのではないだろうか(特に後者)。
さらに、TOP15のうち、2年以上前の楽曲が6曲もあるのも驚きだ。勿論、楽曲の人気には、アーティストの資質、歌詞、歌唱、メロディーなどの魅力が総合的に関与しているのだろうが、数字で「おやっ?」と思わせるだけでなく、「あの日付や年齢の歌ね」と長期にわたって想起させる魅力にもつながっているのではないだろうか。
今後、“情報が氾濫しているので”とか“ブレイクの可能性が高まるので”という理由から、半端な数の“数字うた”がますます増えるのかもしれない。なにしろ、数字は季節や天気とは比べ物にならないくらい、ほぼ無限のバリエーションを加えることができるのだから。とはいえ、どの“数字うた”もそれを象徴する感情表現が突出していることも忘れてはならない。