まず全体のランキングを見てみると、総合TOP100内での逆転ソングは、わずか10曲と、やはりかなりの少数派だと分かる。しかし、1位の「家族になろうよ」は今年を代表する結婚ソング、2位のback numberは本作をリード曲としたメジャー1stアルバムがいきなりアルバムチャートでTOP5入りと、共に男女を逆転させたことが奏功しているようだ。実際、福山雅治は、タイアップ上の制約から結婚ソングの制作を試みたが、男性目線では一向に捗らず、女性目線にしてから一気に創造力が働いて書き上げられたそうだ。
AKB48は3位、8位、9位にランクイン。そういえば、AKB48が本格的にブレイクしたのは、男性目線の楽曲が増えてから。(勿論、レコード会社の綿密な戦略も多分にあるだろうし、作詞家一人だけの尽力とは思わない。)男性目線によって、ファンを代弁したようなメッセージが増えたり、「可愛い」という歌詞が出てもそれが嫌味に聞こえなかったり、様々なメリットがあるようだ。他のアイドルグループも、握手会や初回盤の数など小手先をまねるだけでなく、肝心の楽曲面での改革もした方が、彼女たちに追いつけるのではないだろうか。
4位のラルク、5位のAcid Black Cherry(これは、歌詞がかなりエロいです)あたりが揃ってランクインしているのを見ると、逆転ソングを歌うのに有利な容姿条件があるようにも思える。
6位の中島みゆき、7位の浜崎あゆみは、今回のランクイン曲以外にも、男性目線の楽曲が多数あることに気付く。(中島みゆきは「
空と君のあいだに」「
銀の龍の背に乗って」など。筆者は「
ローリング」もオススメ。浜崎あゆみは「
SEASONS」「
Voyage」「
Moments」「Free&Easy」など。"僕達"と複数形が多いのも浜崎の特徴。)1位の福山雅治然り、性別を超えて歌えるアーティストには息の長いアーティストが多いようだ。その意味では、男性目線の「じゃあ、何故」が最新アルバム中で最も人気の阿部真央にも今後を期待したい。あと、個人的には、男性が女目線で、女性が男目線で歌ったコラボソングなんてあったら凄く面白いと思う(ともすればイロモノになりかねないが)。