前月の歌詞検索ランキングを掘り下げて分析し、キラっと輝くキラー・チューン(名付けて"キラ☆歌")を発掘しようというこのコーナー。今回は、アイドル・グループの人気曲を分析してみた。
第32回:アイドル・グループTOP15 (2012年3月:2012年2月のデータより分析)
テーマ
順位
総合
順位
アクセス
指数
区分 楽曲名 アーティスト CD発売日
1位 10 100.0 女性 GIVE ME FIVE! AKB48 2012/2/15
2位 33 52.8 女性 ぐるぐるカーテン 乃木坂46 2012/2/22
3位 47 38.5 女性 片想いFinally SKE48 2012/1/25
4位 50 37.4 男性 迷宮ラブソング 2011/11/2
5位 63 32.1 男性 バリバリBUDDY! V6 2012/2/15
6位 64 31.8 女性 ジェットコースターラブ KARA 2011/4/6
7位 71 30.6 女性 上からマリコ AKB48 2011/12/7
8位 88 26.5 女性 フライングゲット AKB48 2011/8/24
9位 90 26.4 女性 希望山脈 渡り廊下走り隊7 2011/11/30
10位 101 24.5 女性 風は吹いている AKB48 2011/10/26
11位 111 23.3 男性 Believe 2009/3/4
12位 123 22.3 女性 ヘビーローテーション AKB48 2010/8/18
13位 128 21.3 女性 ウィンターマジック KARA 2011/10/19
14位 163 19.3 女性 ミスター KARA 2010/8/11
15位 170 18.8 男性 Everybody Go Kis-My-Ft2 2011/8/10

 昨年来、TVや雑誌では"アイドル・グループ戦国時代"という特集が増えた。ちなみに、CDランキングを2012年始からの10週間で調べてみると、シングル週間TOP10入りしたアイドル・グループの楽曲は平均して4.1曲!最も少ない週でも2曲、最も多い週では6曲ランクインしており、この"戦国時代"という表現は、決して大げさではなく、この勢いだと年末にはシングルTOP10すべてがアイドルとなる週も出てきそうだ。

 これに対し、歌詞ランキングを見てみると、総合月間TOP10では、CDでダントツ1位のAKB48「KIVE ME FIVE!」が辛うじて10位に入ったのみ。総合TOP100まで見渡してもわずか9曲とあまりに少ない。この現状からも、CDシングルがヒットしていても、その魅力の要因が「歌詞」でないことは示されている。ちなみに、女性ソロの歌詞人気曲はきゃりーぱみゅぱみゅ「つけまつける」や西野カナ「SAKURA,I love you?」など総合TOP20だけでも既に9曲にも上り、これらはいずれも着うたでヒットしており、楽曲人気と歌詞検索が密接に結びついていることは確かだ。ただ、それがCDランキングからは見えづらくなっているということなのだ。

 しかし、そんなアイドル・グループの中でも、歌詞人気曲は確実にあり、アイドル・グループTOP15のうちAKB48が5曲を、関連グループを入れると過半数の8曲を占めている。"握手券ありきの人気"と揶揄されがちだが、実際は歌詞までしっかり支持されている。特に、乃木坂46「ぐるぐるカーテン」やSKE48「片想いFinally」など、女子がカラオケで歌いそうな楽曲がいずれも上位なので、歌詞人気にはそういった狙いも反映されていそうだ。
女性では他にKARAが3曲ランクイン。彼女たちの親しみやすい人気ぶりには、歌詞が気になるということも少なからず貢献していそうだ。しかし、その他のK-POP勢は19位に少女時代「Gee」がランクインしている以外、まったく見られず。この状況は、歌詞で惹きつけているこの2組と、それ以外のK-POPアイドルの認知度のギャップと一致している。
男性勢はTOP15中4曲で、嵐が2月時点で新曲がまだ発表されていないのに2曲もランクイン。特に、09年発表の「Believe」が11位なのが興味深い。嵐は、CDのみならず、歌詞検索でもロングヒットしているものが多く、この点が、他の男性アイドルと大きく異なっている。

 以上のように、アイドル・グループの歌詞人気曲は、市場全体から比べるとかなり少なく、しかも、その中でもAKB48(及び関連グループ)、KARA、嵐の3組に集中している。(Perfumeは、今月は挙がらないものの、アルバム発売直後の昨年12月は総合TOP100内に6曲ランクインしているので、正確には"4組"と言うべきだろう。)今後の"アイドル戦国時代"を生き抜くには、これら人気グループのように、楽曲面でどれだけ大衆を惹きつけるかが大きなネックとなりそう。その意味で、歌詞ランキングは重要な一指標となりそうだ。




GIVE ME FIVE!
AKB48



ぐるぐるカーテン
乃木坂46



片想いFinally
SKE48
 

 V6の通算39枚目となるシングル。CDでは常に上位入りしている彼らだが、必ずしも楽曲自体がいつも注目されている訳ではない。現に、本連載が始まった09年以降、5作のシングルをリリースしてきた彼らだが、本作で初めて月間TOP100入りを果たした。しかも、本作は、歌詞サイトでも上位、着うたでも週間でTOP10入りしており、真のヒット曲と言えるだろう。
 3分間ノンストップ&アゲアゲなポップスだが、前半でメンバー同士の合いの手が緻密に組まれている点や、終盤にどんどん加速&転調するという構成が素晴らしく、TVでも20th Century(年輩の3人)が息切れ寸前になっているのも、あまりにリアルでネット上でも大きな話題となっている。また、3・11以降、どうしても実体験に基づくシリアスな歌以外は、敬遠されがちな空気があったが、一所懸命パフォーマンスすれば、こうしたアゲアゲ・ソングも歌っていいんだと体を張って証明した点でもその存在意義は大きい。TOKIOの「宙船」同様に、"黙っていても1位"が確約されていないグループだからこそ、名曲が生まれたという逆境にも勇気がもらえる。そう考えると、AKB全盛な今年、ジャニーズ勢からより多くの名曲が出るかもしれない。


※ここではデビュー2年内のアーティストを対象に、毎月注目のアーティストを"歌ネット・ルーキー"として紹介していく。ただし、「ルーキー」として選定するのは1アーティストにつき1度限りとする。
 今月は、第6位の女子中学生ユニット2人組のClariSに注目。彼女たちは、09年頃からニコニコ動画にて"アリス☆クララ"名義で活動していたが、翌年アニメソング専門の音楽雑誌『リスアニ!』で特集されて注目を浴び、2010年9月10にシングル「irony」で正式にCDデビューを果たした。
 "ソニー系の雑誌で特集→ソニーグループのレコード会社からCDデビュー"というと、最初から仕込みがあったのではと、つい勘繰ってしまいがちだが、それがどうであれ実際に歌を聞けば、いかにもソニー系の、聞き心地の良いよく通る声で、これは売れてしかるべきだろう。彼女たちの歌詞ランキングでもダントツの最新作「ナイショの話」は、人気アニメ『偽物語』のエンディングテーマ。ギターサウンドが多めだったり、最後2人の掛け声でエンディングを迎えたりと、これまで以上に元気な部分が目立っている。
 現在は、二人とも中学生ということで、毎回イメージ・イラストがジャケットとなり、本人達のプロモーションは殆ど行われていないが、今後、実際のキャラクターが見えてくれば、ZONEのように同年代の女性ファンや、ちょっと年上の男性ファンなど、さらに支持を広げるのではないかと期待している。




順位 占有率 楽曲 初収録作品 発売日
1 47.5% ナイショの話 4thシングル 2012.2.1
2 13.2% コネクト 2ndシングル 2011.2.2
3 10.8% 本当は 4thシングル c/w 2012.2.1
4 8.8% I'm in love 4thシングル c/w 2012.2.1
5 5.8% irony 1stシングル 2010.10.20
6 4.0% nexus 3rdシングル 2011.9.14
7 1.5% Don't cry 3rdシングル c/w 2011.9.14
8 1.5% キミとふたり 2ndシングル c/w 2011.2.2
9 1.4% true blue 『ZONEトリビュート〜君がくれたもの』 2011.8.10
10 1.4% アナタニFIT 3rdシングル c/w 2011.9.14



つのはず・まこと。1968年京都府出身。理学部修了→化学会社勤務という理系人生を経て、97年に何を思ったか(笑)音楽関係の広告代理店に転職。以降、様々な音楽作品のヒットに携わり、05年にT2U音楽研究所を設立。現在は、本業で音楽分析やCD企画をする傍ら、日経エンタテインメント!、共同通信などでも愛と情熱に満ちた連載を継続中。Twitterは@t2umusic
 最近は、男性シンガーソングライターのsuzumokuがいずれブレイクするのでは、と睨んでいます。個人的に好きなのは、前年のアルバム『ベランダの煙草』あたりだと、「アイス缶珈琲」と「モダンタイムス」あたりでしょうか。正義を振りかざす訳でもないけれど、現代社会を鋭い目で見抜いている歌詞、そして超絶のギター・テクニックは、10年くらい前の斉藤和義を彷彿とさせます。つまり、今からブレイクするポテンシャルを持ち合わせているという。あ、でも彼のように強烈な下ネタがまだ飛ばせない20代なので、そこは今後の課題になるかも(笑)。歌詞サイトでは、そういったアーティストの世界観まで楽しめるので、どうぞ「歌ネット」を舐めるように見て下さい。よろしくお願いいたします♪

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