昨年来、TVや雑誌では"アイドル・グループ戦国時代"という特集が増えた。ちなみに、CDランキングを2012年始からの10週間で調べてみると、シングル週間TOP10入りしたアイドル・グループの楽曲は平均して4.1曲!最も少ない週でも2曲、最も多い週では6曲ランクインしており、この"戦国時代"という表現は、決して大げさではなく、この勢いだと年末にはシングルTOP10すべてがアイドルとなる週も出てきそうだ。
これに対し、歌詞ランキングを見てみると、総合月間TOP10では、CDでダントツ1位のAKB48「KIVE ME FIVE!」が辛うじて10位に入ったのみ。総合TOP100まで見渡してもわずか9曲とあまりに少ない。この現状からも、CDシングルがヒットしていても、その魅力の要因が「歌詞」でないことは示されている。ちなみに、女性ソロの歌詞人気曲はきゃりーぱみゅぱみゅ「つけまつける」や西野カナ「SAKURA,I love you?」など総合TOP20だけでも既に9曲にも上り、これらはいずれも着うたでヒットしており、楽曲人気と歌詞検索が密接に結びついていることは確かだ。ただ、それがCDランキングからは見えづらくなっているということなのだ。
しかし、そんなアイドル・グループの中でも、歌詞人気曲は確実にあり、アイドル・グループTOP15のうちAKB48が5曲を、関連グループを入れると過半数の8曲を占めている。"握手券ありきの人気"と揶揄されがちだが、実際は歌詞までしっかり支持されている。特に、乃木坂46「ぐるぐるカーテン」やSKE48「片想いFinally」など、女子がカラオケで歌いそうな楽曲がいずれも上位なので、歌詞人気にはそういった狙いも反映されていそうだ。
女性では他にKARAが3曲ランクイン。彼女たちの親しみやすい人気ぶりには、歌詞が気になるということも少なからず貢献していそうだ。しかし、その他のK-POP勢は19位に少女時代「Gee」がランクインしている以外、まったく見られず。この状況は、歌詞で惹きつけているこの2組と、それ以外のK-POPアイドルの認知度のギャップと一致している。
男性勢はTOP15中4曲で、嵐が2月時点で新曲がまだ発表されていないのに2曲もランクイン。特に、09年発表の「Believe」が11位なのが興味深い。嵐は、CDのみならず、歌詞検索でもロングヒットしているものが多く、この点が、他の男性アイドルと大きく異なっている。
以上のように、アイドル・グループの歌詞人気曲は、市場全体から比べるとかなり少なく、しかも、その中でもAKB48(及び関連グループ)、KARA、嵐の3組に集中している。(Perfumeは、今月は挙がらないものの、アルバム発売直後の昨年12月は総合TOP100内に6曲ランクインしているので、正確には"4組"と言うべきだろう。)今後の"アイドル戦国時代"を生き抜くには、これら人気グループのように、楽曲面でどれだけ大衆を惹きつけるかが大きなネックとなりそう。その意味で、歌詞ランキングは重要な一指標となりそうだ。