1位は、前回調査時に続き、GReeeeNの「キセキ」。なんと、発売以来4年間ずっと上位入りしており、これはCDシングルで言うと200万枚クラスのヒットにも相当するほどの殿堂入りの名曲と言えるだろう。2位の「3月9日」、3位のKiroro「Best Friend」、7位のEXILE「道」、8位のゆず「栄光の架橋」などは、前回TOP20圏外だったが、今回集計してみると、大きくジャンプアップしていた。これは、卒業や東日本大震災のエールソングとして、このシーズンに注目を浴びたことが要因だろう。しかし、例えば卒業ソングとしてもっと有名な「贈る言葉」や「旅立ちの日に」といった楽曲よりも、これらの方が歌詞が検索されるというのは、発売当時に楽曲を知らなかった若い世代から「いったいどんな歌だったのだろう」と気にするような魅力があったのだと思われる。これは推測だが、教科書では教えられていないような友情や恋心も描かれていることが大きいのではないだろうか。同様に、11位に「天体観測」や、12位に「Sign」がランクインしていることからも、BUMPやミスチルが常に若い世代のファンが増えていることも分かる。
これらとは対照的に、08年8月以降の作品で、今回初めて"旧作"の対象となった楽曲で人気なのが、4位のゴールデンボンバー「女々しくて」や、5位のGReeeeN「遥か」、9位の木村カエラ「Butterfly」、10位の嵐「Believe」など。「女々しくて」や、「Butterfly」、他にも前回から連続ランクインのHY「366日」や嵐「One Love」、東方神起「どうして君を好きになってしまったんだろう?」あたりは、"ものまね紅白"や"歌が上手い芸人決定戦"の2回に1回は歌われるほどの定番曲だ。つまり、たとえ本人が歌うことがなくても(東方神起は5人時代の楽曲なので、5人では披露されることもなく・・)、モノマネされて楽曲が残れば、それはスタンダードとして語り継がれることが多々あるということだ。その意味で、特典の種類を増殖させて瞬間的なアイドル・スターを育てることばかりに躍起になっているここ1〜2年の音楽業界は、ちょっと行きすぎだった感じもする。しかし、その反動からか、今年は年初から、女性ソロの実力派が国内外で人気を増しているので、その揺り戻しが始まっているようにも思える。
以上のように、春の旧作ランキングでは、今聞いても、より若い世代も共感しうるエバーグリーンな旅立ちの名曲が多いことが分かった。今後、季節を変えて集計してみることで、それぞれの季節のエバーグリーンな名曲を探してみたい。また、GReeeeN「キセキ」に対抗する"万年上位"の楽曲が出てくるのか、楽しみにしたい。