まず、総合TOP100に入ったシングルのカップリングはわずか7曲(両A面の安室奈美恵を除くと、たったの6曲)にとどまった。ちなみに、アルバム初収録曲は18曲とこの倍以上の人気。やはり、近年はシングルのA面曲のみ動画サイトやダウンロードサイトで楽しむというファンが多く、カップリング曲にまで興味を持つファンが少ないようだ。
しかし、そんな中でも、西野カナがカップリング曲の1位と5位にランクイン。彼女のシングルは、レンタル解禁日を通常のシングルより2週間半遅らせる措置を取る為か、ほぼ毎回3曲収録となっているが、カップリング曲の上位常連となっている。しかも、カップリングでは、よりR&B色が強かったり、曲調もワイルドだったりと、冒険していることが多い。今回の「Happy Half Year!」も、♪Eh Oh Eh Oh〜なんて掛け声があって、いつも以上にアゲアゲなナンバーだし、「LOVE LIKE CRAZY」は4つ打ちサウンドで、こちらもかなりLIVE向き。表題曲では、割とベタでキャッチーなものが多いが、カップリング曲を使って、作品の幅を広げているのが、他の着うたディーバと大きく異なることだろう。初回出荷分のみジャケットを変えたり、シールを入れたり、さらにカップリング曲の配信開始日を遅らせたりと、シングル・パッケージを買ってくれるファンに向けてのこうした取り組みがシングル・ヒットの継続に繋がっているのだろう。
そして、2位、4位、7位には、嵐の39thシングルのカップリング3曲がすべてランクイン。彼らも、カップリング曲のランクインが多いが、このシングルについても既聴感のある王道バラード「Your Eyes」よりも、ファンキーでソウルフルな「花火」や、沖縄音階や三線を取り入れた「voice」の方が、個人的には面白い。つまり、カップリング曲によって今後の彼らの可能性を試しているのだ。
9位と10位には、現在急上昇中のSEKAI NO OWARIがランクイン。最新シングル「眠り姫」が自己最高のヒットとなっているが、カップリング曲まで上昇しているということは、彼らの世界観全体が注目されているということだろう。同社のアーティストでは、大半のシングル・カップリング曲がアルバム未収録となっているゆずや、シングルの隠しトラックで、摩訶不思議な楽曲を披露し続けるBUMP OF CHICKENがいるように、彼らもまたシングル・ヒットの常連となるか、今後が楽しみだ。
以上のことから、シングル・カップリング曲は、両A面ではない限り、大衆には広がりづらいが、パッケージやアーティストの魅力を増長するのに十分役立っていることが分かった。