そうして出したものがこのランキングだ。表中の赤色が、昨年のTOP100圏外からの上昇曲、薄緑色が2年連続TOP100のロングヒット曲、さらに黄色が3年連続でTOP100入りしたスーパーロングヒット曲ということになる。
以下、その3区分で見ていこう。まず赤色のトップは、2位の美輪明宏「ヨイトマケの唄」。この1曲の御蔭なのか「今年の紅白はつまらなかった」という人が激減したように思う。心から感動した人が多数、また感動しなくてもそれを理解できない方が愚かだと黙らせてしまうほどの説得力があったのだろう。その歌詞を確認しようとした人が続出し、この結果に。勿論、歌詞検索で総合月間TOP10入りしたのも過去最高齢(77歳)だ。また、日本レコード大賞で優秀アルバム賞を受賞したSEKAI NO OWARIが6位、初のベスト盤リリースタイミングで『ミュージックステーション』に出演したMONGOL800が7位と、こちらも美輪明宏同様に、"珍しい人が珍しい番組に出た"効果がしっかり出ている。
2年連続ランクインの薄緑色を見ると、ソナーポケットの1位と3位の2曲が、2012年の顔として大活躍したゴールデンボンバーの上を行っているのが興味深い。やはり彼らの人気を大きく支えているのは歌詞ということだろう。今月6日発売の4thアルバムで、更に飛躍できるのか注目したい。
男性3人組と言えば、今年解散が決まっているFUNKY MONKEY BABYSがいるが、紅白常連だった彼らの枠をソナポケが入るのかどうかも興味深い。ただ、ソナポケにはファンモンの「あとひとつ」や「ヒーロー」のようなベタなエールソングがないので、その路線はまた別のアーティストが後釜を狙うのか、今から業界内が虎視眈々としていそうだ(笑)。また、5位back number「花束」も1年半以上このハイレベルを保っているので、そのうち芸人対抗歌合戦あたりでカバーされて、更に大衆的なヒットになりそうな気がする。
そして、3年連続の黄色には、既に発売から5年目に突入しているGReeeeNの「キセキ」と、アジカンの「ソラニン」が登場。興味深いのは、当時50万枚を超えるCDヒット、約600万DLの着うたヒット、甲子園の入場行進曲にもなり、今でもカラオケで上位人気の「キセキ」よりも、ヒットはしているもののそこまで大衆化していない「ソラニン」の方が歌詞検索では上位ということだ。これも「ソラニン」が歌詞を思わず確かめたくなるほど、知らなかった人を惹きつけるだけの魅力があるという現れだろう。もしかすると、サザンの「希望の轍」やミスチルの「抱きしめたい」のように、当時はメガヒット・シングルじゃなくても、発売から10年以上経った頃には、アーティスト別人気投票でかなりの上位になっているのかもしれない。
このように、旧作のロングヒットをみると、実際にTV出演で認知が再び広がった曲や、今後のタイアップやTV出演次第では、いつ爆発的に広がってもおかしくないポテンシャルを有した名曲が多数並ぶことが分かった。一つ、気になるのは、上位16曲を見ても、女性歌唱はシェネルの英語曲とHYの仲宗根による「366日」だけで、あとはすべて男性歌唱曲ということだ。女性歌唱は、アイドル達の熾烈な争いのために、楽曲が長く聞かれない状態なのだろうか。目先のイベント参加券で売上を稼ぐだけじゃなく、このランキングに入るような女性シンガーのロングヒットを作ることも音楽業界の大命題と言えそうだ。