さて、今回の人気曲TOP15を見てみると、1位はももいろクローバーZとなった。しかも、この「Neo STARGATE」は、最新アルバムのリード曲であって、シングルではない。アイドルでアルバム曲が高く評価されるのは非常に珍しく、この結果は、これまで1曲1曲話題性の高い楽曲を制作し、宣伝面も含め常に話題を振りまいてきた彼女たちやスタッフの努力の賜物と言えよう。
ももクロも3曲ランクインと健闘しているが、TOP15中最も健闘しているのは、7曲ランクインさせたソナーポケット。移籍後は、“ラブソングマスター”と銘打って、インパクトのあるタイトルや直球型のメッセージで、とりわけ歌詞サイトやダウンロードで高い評価を得てきた。同じ3人組のFUNKY MONKEY BABYSの解散が決まった今年、ファンモンが得意としてきた人生ソングやエールソングまで、彼らが押さえていくのか、それともこれまで以上にラブソングを極めていくのか、興味深いところ。他にも、複数ランクインさせているのが7位と8位のORANGE RANGE。同社のスピードスターレーベルは、10年以上前では斉藤和義、近年では清木場俊介やスガシカオなども移籍させ、それぞれヒット曲を出しているだけに、ORANGE RANGEもまたV字復活が期待される。
表を見てみると、ももクロやソナポケをはじめ、ユニバーサルミュージックのアーティストが非常に多いことに気付く。ユニバーサルと言えば、徳永英明やDREAMS COME TUREなど移籍後に大ヒットを飛ばしたベテランが多く、またメジャーに復活したナオト・インティライミがTOPアーティストになるなど、復活のイメージがあるが、意外と若手の移籍(そしてその後他社での成功)も多いようだ。ももクロが移籍したのは、2010年で折しも同社がKARAや少女時代などK-POPアーティストを次々と大ヒットさせていった時期で、アイドルブームはまだ本格化していなかった。また、ソナポケも同社で「Promise」を2008年に配信ヒットさせていたが、00年後半は青山テルマ、GReeeeN、ヒルクライムなど同社ではメガトン級の配信ヒットが続出した為、彼らは今ひとつ脚光を浴びなかったのかもしれない。BMG(当時)からユニバーサルに移籍して「Story」など代表曲をヒットさせた後、EMIに移籍して「ハピネス」などよりメッセージ性を際立たせ再ブレイクしたAIが、会社の合併でユニバーサルの出戻り(微笑)となったが、今後、最初の移籍時のようなヒットを飛ばすのかにも注目したい。
以上のように、移籍後の楽曲を見てみると、音楽的に際立たせることで成功している例が多い。これは、手っ取り早くイベント参加券をくっつけて一人に大量に買わせることよりも、音楽を広めようと努力するという点で、むしろ健全な行為とも言えるだろう。つまり、移籍は後がなくピンチではあるものの、大きなチャンスでもあるわけだ。