まず、全体を見てみると1位は剛力彩芽のデビュー作、総合でも月間1位となるほどの人気。ドラマやCMでの急激な活躍ぶりから、ネット上ではネガティブな口コミが散見されるが、楽曲自体は非常に覚えやすく、更にPVや本人のTV出演であれだけキレの良いダンスを見せられたら人気が出てもおかしくないだろう。勿論、発売タイミングであれだけ多くの番組出演が決まるのは、通常の新人にはない芸能界的な威力を感じるが、例えば彼女と同じ事務所所属の武井咲のデビュー作はCDヒットしたものの歌詞ヒットはしなかったので、必ずしも彼女の境遇が楽曲ヒットのすべてではないと言えるだろう。他にも、デビュー2年以内のルーキー(表中黄色のゾーン)では安田レイや山崎あおいも健闘している。
デビュー3年目から10年までの女性ソロ(表中緑のゾーン)では、西野カナやmiwaが上位の常連。miwaは、昨夏の「ヒカリへ」がブレイクポイントとなり、以降大半の楽曲が歌詞検索でも上位入り(それまでは男性ファンが多かったためか、CDだけが先行)。それにしても、西野カナは、09年以降ヒットを飛ばし続けていることに改めて感心。特に、10年の「会いたくて 会いたくて」などの頃は“着うたの歌姫”と呼ばれていたがご存知のとおり、その後着うたは一気に下火になった。それにも関わらず、彼女のヒットは継続し、フル音源のダウンロードのTOP10入りは勿論、時にDVDを付けない1種類のCDでもTOP10入りを続けているのだ。9月4日発売のベスト盤はヒット確実だろうが、その後、どのようにパワーを維持していくのかにも注目したい。また、歌詞検索では阿部真央のヒットも特長的。確かに、彼女のパワフルな声を離れて歌詞だけを読んでみると、主人公が意外と強がっていたり、純粋な気持ちを持っていたりすることが浮き上がってくるので興味深い。
そして、デビュー10年以上のベテラン組(表中の桃色ゾーン)も、安室奈美恵、AI、aikoがランクイン。次回、急上昇が確実視されている「潮騒のメモリー」も天野春子(小泉今日子)も含め、偶然にもみな「ア」始まりだ。歌詞検索では、実際の音楽市場よりも若いリスナーに注目されているが、言い換えれば、ここに挙がった彼女たちはベテランの域になっても、若いファンを取り込み続けているということが分かる。つまり、その意味でも歌詞検索はアーティストのアンチエイジングのバロメーターにもなるわけだ。
以上のように、前月はルーキー限定で女性ソロを見たが、ルーキー以外を見ても、その活動年数や音楽性の幅広さなど実に華やかなラインナップで、このリストのまま音楽プレイヤーや動画サイトで聞いてみても楽しいことだろう。但し、女性アイドルグループから派生した女性ソロはここに挙がっておらず、更に下位に掘り下げた総合TOP200でも圏外となっている。集団パワーに依存せず、楽曲単体で支持されうる女性アイドルが出現するか、それとも集団パワーを蹴散らすほどの、強い楽曲を作る次世代の女性ソロが登場するのが先か、今後も女性ソロに注目していたい。