1位は、ネットでも人気沸騰中の『あまちゃん』劇中歌である「潮騒のメモリー」。筆者自身は、小泉今日子について、その歌声よりも「Fade Out」など時代ごとの新進気鋭作家の楽曲を上手く取り込める人というイメージが強かったが、覆面歌手として活躍する本作にて、KYON2ならではのアイドル歌唱も魅力的だったんだなぁ〜と再認識した。つまり、松田聖子的な上手さがちゃんと備わっているのに今更気づいたのだ(汗)。無論、これは単なる「夏うた」というよりも、無関係そうでドラマの内容に密接に関係しているというミステリアスな歌詞への注目度も高いのだろうが、それでも全体に「夏」ならではの爽やかさも伝わってくる。
次に目立つのが、バンド系の「夏うた/海うた」が意外に多いということ。2位のSEKAI NO OWARI、5位のback numberに加え、目下ブレイク中のクリープハイプに至っては3位、7位、9位と3作もランクインしており、今夏のアルバムヒットは、夏を意識した作風が受け入れられたことも大いに影響していそうだ。かつて、GLAYやポルノグラフィティなどJ-POPと親和性の高い一部のバンドには夏うたが多数あったものの、多くのバンドには他のアーティストに比べて衝動的な部分や逆に内省的な部分な部分が多く、夏を前面に出したものは少なかったように思う。(むしろ、夏うたが顕著に多かったのは、眼前で相手のことを思っている歌が多いヒップホップ系や、リズムそのものが夏をイメージするレゲエ系だった。)しかし、ここへ来て、「夏といえばフェス、フェスといえばロック!」というのが定着したのか、このように、バンド系の「夏うた」人気曲が多数出てきたことに繋がっているのかもしれない。
次々点までの12曲を男女別を見ると、男性ボーカルは9曲に対し、女性ボーカルは3曲と圧倒的に少ない。これは、昨今の女性楽曲はアイドルポップスが優勢となったことで、単に歌詞だけではなく、ルックスやダンスのフォーメーションなどビジュアル面も加味した所で「夏」をイメージすることが多いからではないだろうか。つまり、楽曲だけで「夏」を体現する女性アーティストが減った、あるいは市場全体として目立たなくなったのかもしれない。その意味で、8位のmiwa「ミラクル」は、音だけを聴いてもそのキラキラ感が伝わるし、彼女のキュートな部分を前面に出したルックスも「夏うた」にピッタリだ。今後、女性ソロが逆境の中でサバイブするには、こうした季節感も上手く取り入れることも重要となりそうだ。
以上のように、直近の人気曲で「夏うた/海うた」を探ってみると、圧倒的に男性優勢となった。ちなみに、4位に山下智久がランクインしているが、ジャニーズ系のドラマ主題歌でここまで上位になるのは嵐以外ではかなり珍しい。これも、色あせない名曲カバー(原曲は真心ブラザーズ)に加え、季節感を上手く取り入れたことが勝因と言えるだろう。やはり、今も昔も「夏」は音楽界にとって大きな味方なのだ。