1位は男女混成グループAAAの最新シングル。ミディアム・バラードのラブソングにおいて、「恋」の「音」をテーマにするなんて、なんともロマンティック。その効果もあってか、パッケージのような購入特典無しでのダウンロードやレンタル、さらに「歌ネット」でもロングヒット中で、彼らの近年の作品の中では最大ヒットとなっている。とかくグループのアーティストは、人海戦術でCDシングルの上位入りに躍起になっている傾向があるが(AAAもCDの高初動にその影響もあること自体は否定できないが)、このようにCD以外の複数の部門でロングヒットになっていれば、それは本当のヒットと見て間違いないだろう。
TOP15を見てみると、AAAを除く14曲中なんと10曲までも男性アーティスト、しかもクリープハイプやUVERworld、RADWIMIPS、ONE OK ROCKと歌ネット上位常連のロックバンドが多数挙がっている。彼らのファンからは、「歌詞が良い」「衝動的なサウンドと歌詞の相性が抜群」ということをよく聞くけれど、その導入口となっているタイトルも非常に重要なようだ。また、音楽のみならず、小説でも大人気となっているクリエイターのじんの楽曲も3位、13位にランクイン。動画サイトでいかにインパクトのあるタイトルを付けるかしのぎを削っただけあって、タイトルの付け方からしてセンスが光っているのだとあらためて思った。
女性アーティストを見てみると、4位の中島美嘉「僕が死のうと思ったのは」がトップ。同作は、提供者であるamazarashiの秋田ひろむがそのまま歌っても全く自然な楽曲で、最終的には生きることの喜びを綴っているのだが、一部だけ聞いても、その感動が伝わらないので是非ともどこかでフルコーラスを聞いていただきたい。他は、ドラマ『あまちゃん』挿入歌の「地元に帰ろう」や、きゃりーぱみゅぱみゅ、そして世界的に中毒者続出(笑)の「Tacata’」以外、女性だけのボーカル曲が見られず。要は、女性アーティストが“タイトル勝ち市場”でガラ空きになっている。きゃりーぱみゅぱみゅの各楽曲が歌詞および動画サイトやダウンロードでいずれもインパクト抜群で好調なように、女性ソロは、歌詞でもタイトルでももっともっとリスナーを惹きつける必要性やチャンスがまだまだ残されているかもしれない。
以上のように、“タイトル勝ち”の重要性を垣間見ることが出来た。楽曲以外の魅力で売上数字がいとも簡単に作りやすい世の中だからこそ、真なるヒット曲の創作に向けて、歌詞全体の内容のみならず、そのタイトルや場面設定などのディテールまでこだわった歌詞に出逢いたいものだ。