表を見ると、大きく分けて3タイプあることが分かる。一つは、タイアップ等をキッカケに発売以来、過去最高位を記録する楽曲。テーマ順位1位のSPICY CHOCOLATEは、元々コアなレゲエファンやミックス好きのドライブユーザーには人気だったが、NTTドコモのCMで幅広いリスナーに一気に広がった。楽曲が収録されているCDの発売時期(12年9月)は、歌詞検索では月間TOP200圏外だったので、やはり今なおCM効果の大きさを実感する。
次に、二つめは、元々ヒットしていたがタイアップや番組出演をキッカケに再浮上しているもの。2位の安室奈美恵「Love Story」は、11年のドラマ主題歌、13年前半の携帯配信向けのCM、そして13年後半に自身が出演する化粧品CMと時期をずらした3つのタイアップで、3回とも配信や歌詞検索でヒットしている。世界進出の為か、およそカラオケでは歌えなさそうな英語中心でリズムが複雑な楽曲を極める一方で、こうしたベタなバラード曲を長く支持させることで国内外の人気を保つ…という戦略が制作サイドにあるとすれば非常に興味深い。
また、3位と4位のシェネルは12月に発売されたベスト盤に合わせたCMスポットや本人のTV出演が奏功しているようだ。他にも、5位のナオト・インティライミ「タカラモノ」や8位のmiwa「don’t cry anymore」、12位の西野カナ「Always」は、『FNS歌謡祭』で印象的に歌われたことが影響しているようだ。年々、コラボレーションが本格化する同番組によって、明らかにこれまでにはないファン層に訴求できている紛れもない証拠と言える。
そして、それ以外のタイプは、時期に関係なく毎月のように上位をキープしている楽曲。7位のソナーポケット、9位のback number、11位のGReeeeN、16位のMONGOL800、17位のHYは、いずれもTV中心のアーティストじゃないからこそ、何かのメディアで紹介されるたび、その楽曲の魅力に気づいて検索する人が多いのではないだろうか。なお、楽曲人気が急落傾向にあるK-POP勢の中でもBIGBANG「FANTASTIC BABY」がロングヒットしていることにも注意されたい。彼らと東方神起は、K-POPの中でもアグレッシブな楽曲が目立つが、それがユニークなヒット傾向に繋がっていると言えよう。
以上のように、旧作ヒットの中にも、「初ヒット」「再ヒット」「継続ヒット」の3パターンがあることが分かった。なお、これら21曲中「ビリーヴ」「タカラモノ」「花束」「ベイビー・アイラブユー」「キセキ」の5曲を収録したコンピレーションCD『大切な人と聴きたい15のラブソング』も地味〜にロングヒット中。手前味噌であるが、他にも息の長いラブソングが多いので、発売時期に関係なく聴いていただけると幸いである。