表を見ると、1位に『アナ雪』主題歌のMay J.、2位にはiTunesにてその『アナ雪』超えが大きく報道されたMACO、そして4位にはイケイケな女性を応援するアゲアゲソングを歌うMINMIと、女性ソロボーカルがこぞってランクイン。1位、2位は既に配信で大ヒットし話題になっているし、4位もその歌詞の内容やMINMIの女性人気から今後さらに盛り上がっていきそうだ。いずれも、ウタヂカラのある作品ながら、シングル表題曲(A面)としては発売されていない。これは、CDシングルのリリースだと発売から話題になるまで時間がかかってしまい、今の時代のスピード感と合致しないということに加え、シングルCDチャートで勝負しても真っ当な楽曲評価が得られないということも大きいのではないだろうか。例えば、昨年11月にデビューした女性シンガーソングライターのkahoは、ラジオやダウンロードなど軒並みTOP10入り、LIVEでも堂々たるパフォーマンスを披露し、今後も大いに期待される存在だと筆者は感じている。しかし、1種類で発売したシングル「Every Hero」がオリコン最高位34位だったことを引き合いにして、“ドラマ主題歌&親の七光りがありながら、失敗に終わった”と評する“マスゴミ”や“クチゴミ”も存在する。もし、彼女がCDシングルではなく配信限定でデビューしていたなら、ダウンロードやラジオでの上位ぶりだけが報道され、彼女の大物感が伝わったのかもしれない。それほどまでに、今のシングルチャート単体でヒットを分析するのは、あまりに短絡的で危険なのだ。本チャート14位の吉澤嘉代子もシングルなしでのアルバムCDデビューにて、殆どメディアに報道されていない中で初登場30位と健闘している。今後も、ヒット曲が見えないチャートが報道のメインとされている限り、こうした形での女性ソロ歌手のリリースが多くなりそうだ。
そして、ボーカロイドを用いた音楽制作や小説の執筆などマルチな才能が注目されるクリエイターのじんと、10代に最も人気のあるバンドであろうSEKAI NO OWARIがTOP20内にそれぞれ4〜5曲をランクインさせている。この2組は、過去に発表したアルバムが、どれもロングヒットしているのが共通している。つまり、シングル曲以外の複数の楽曲が注目され続ければ、アルバムのロングヒット、ひいてはアーティストの人気上昇に大きく繋がるのだ。CDシングルチャート偏重の方には、こうしたヒット現象がきちんと見えるランキングも今一度認識していただきたい。
以上のように、シングル以外の人気曲を見れば、女性ソロはきちんと伸びていることもわかるし、また複数の楽曲ランクインから更に大化けしそうなアーティストも見つかることが分かった。つまり、有望な若手アーティストは少なからずいるのだ。ちなみに、シングルでの歌詞検索1位はSPYAIRの「イマジネーション」、2位はSEKAI NO OWARI「RPG」、そして3位は嵐の「GUTS!」と、いずれもCDやダウンロードでロングヒットしているものばかりで、歌詞検索ならばシングル曲を見ても、真のヒット曲が見つけやすいということも申し添えておく。