全体を見ると、ギター弾き語り系は、総合のTOP200内にわずか16曲、総合TOP10では皆無と世間のイメージ以上にまだまだ少ない事が分かる。ちなみに、総合TOP10には総合1位の西野カナやテイラー・スウィフトの日本語カバーを歌ったMACOといった話題の女性ボーカル、ONE OK ROCKやback number、SEKAI NO OWARIといった歌詞人気常連のバンド、そして三代目J Soul Brothersや『アナ雪』使用曲の「生まれてはじめて」と、大衆的な人気曲が大半を占めていて、確かにここと比べれば弾き語り系はまだまだ地味に見えるのかも(汗)。
その中でテーマ1位は、秦基博の映画『ドラえもん』3D版の主題歌となった。近年の彼の楽曲に多く見られるようになった心温まるバラードで、これは絆をテーマとしたタイアップとの相性の良さが勝因とも言えそうだ。アルバムではヒット常連だが、これを機に、シングルヒットも量産するアーティストにステップアップすることを期待している。
TOP15中、最も大勢を占めるのが15曲中9曲を占める女性弾き語り系で、確かに近年の特集の増加自体は非常にトレンディだと言える。
3位の上田真梨恵、5位の大原櫻子、12位の片平里菜など1stアルバム前あるいは、リリース直後といった若手が目立つのも嬉しい。特に、片平里菜の楽曲は、1stアルバム『amazing sky』のリード曲で、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの山田貴洋がプロデュースに参加したギターロックチューン。この他にも、各曲のメッセージに適したアレンジが施されており、今後、アルバム・アーティストとして大いに成長するのではとワクワクさせられる。
男性の方を見ると、ソロが3組、デュオが2組+次点のどぶろっくと、確かに特集をするには若手が揃ってない状態で、バンド人気に押され気味なのだろうと推測できる。ちなみに、どぶろっくは、歌詞も非常にユニーク(というか、めくるめくエロスの世界で、よくネタが尽きないなといつも感心(笑))で人気だが、ボーカリストとしても非常に良い声質や二人のハーモニーがあるので、今後、真面目なカバーアルバムでも作ったら、意外と9位の吉田山田くらい、歌い手としても注目されるかもしれない。
以上のように、ソロでも人気が出やすい歌詞サイトで見てもさほど盛り上がっていない弾き語り系だが、言い換えればより強いメッセージ性を持つアーティストの“ヒットの打席”は残されているということかもしれない。注目の歌詞からSNSでどんどん広がっていく昨今、歌詞人気常連バンドが多数出てきたように、弾き語り系でもそんな人気者が出れば、言葉が前面に伝わりやすいスタイルゆえに、音楽業界にも多大な影響を与えるのではと期待している。