第71回バンド別人気曲TOP15(2015年6月:2015年5月データより分析)
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1位は、ゲスの極み乙女。の最新シングルで、コカ・コーラのキャンペーン・ソングに起用されたこともあり、過去最高のヒットに。また、日本テレビ系のバラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話×しゃべくり007 春のモテ男&モテ女 合体SP』に出演した事で大きな反響を呼び、インディーズ時代の代表曲でもある「キラーボール」も総合9位まで上昇。旧譜アルバムもこぞって再浮上しており、今後発売されるであろうアルバムCDも10万枚超えそうな勢いだ。
2位は、back numberの初期代表曲「花束」。もともと結婚式ソングの定番として強いうえに、5月22日の『ミュージックステーション』にて、「東大生が良いと思うJ-POP」にて4位に選ばれたことでさらに上昇した(ちなみに、1位は山崎まさよし「One more time,one more chance」、2位はSMAP「世界に一つだけの花」、3位は中島みゆき「糸」。どの東大生もスタジオの出演者たちがドン引き(微笑)するほど細かく歌詞を分析しているのがユニークだった)。最新シングル「SISTER」も5月27日に発売したばかりだが、総合5位と絶好調だ。
そして、3位はBUMP OF CHICKEN、4位はSEKAI NO OWARIと歌詞サイト常連組がランクイン。ここまでの4組は、最新作のリリース時期はもちろん、旧作も常にTOP50内に入るほど安定した人気を見せている。このことも、彼らのブレイクや継続ヒットが確固たることを証明しているようだ。言い換えれば、常に複数の楽曲を歌詞や動画サイトの上位に送り込むことが、ヒットバンドの必要条件となっているのかもしれない。
5位は、どのアニメ主題歌を歌ってもグンとセールスが伸びる3ピースバンドのUNISON SQUARE GARDEN。本作も、アニメ『血界戦線』のエンディングテーマとなっているが、アニメファン以外にもその繊細な歌詞描写やポップロック調、ボーカルの高音などが魅力で、さらにロングヒットして、7月発売のアルバム以降、彼らもヒット常連に仲間入りしそうだ。
メーカー別でみると、CD市場ではエイベックス、ソニー、ユニバーサルがTOP3となっているが、ロック限定で歌詞人気を見ると、3位から5位にトイズファクトリー勢、6位のKEYTALK、7位のサンボマスター、15位のサザンオールスターズとビクター勢が強く、歌詞人気が全ジャンルで強いユニバーサルは2位、8位、9位、13位とランクインしているものの、ソニーは14位のUVERworldが最高、エイベックスに至っては1組もランクインしていないなど、随分と様相が異なる。このことからも、とりわけバンドでは(タイアップや派手なメディア露出など)メーカー間の力関係はさほど作用しておらず、真の実力が現れやすいとも言えそうだ。
ただし、表にて、全体を色分けしてみると、70年代デビューのサザンオールスターズから、今年メジャーデビューの[Alexandros]まで幅広いラインナップではあるものの、どのバンドも既にアルバムまたはシングルのCDで週間TOP10を複数回しており、全くのブレイク前のバンドがいない。確かに、ライブの状況では、単独ライブのチケットの完売やフェスでの入場制限などのニュースを多数耳にするものの、それらのバンドの歌詞が人気というのは、そこまで声高に聞こえていないような気がする。現代は、歌詞以上にライブでのパフォーマンス力が重視されているのかもしれない。
とはいえ、前述のように大ブレイクを果たしたバンドは皆、歌詞での人気曲を多数持っていることから、今後も本ランキングでの注目作から時代を読み解くことは重要だろう。超個人的には、5月にアンプラグドでの再録音されたアルバム『あまざらし 千分の一夜物語 スターライト』を発表したamazarashiに独特な歌詞世界が多いので、いつか人気が急増するのではと期待している(笑)。
2015年5月に発売されたオリジナル8thアルバム『サンボマスターとキミ』に収録され、有村架純主演の映画『ビリギャル』の主題歌となったロック・チューン。歌の本編の前後で"可能性(を)終わらせんなよ!"とシャウトする部分だけでも泣きそうになるほど、熱くそして温かいメッセージソングで、サビの「ダメじゃないよ僕たち/終わらせんな可能性」という部分をメンバーとコーラスが共に歌うという演出も胸に響き、それが歌詞検索やダウンロードでの好調に繋がったのだろう。作詞・作曲はこれまでと変わらずボーカル&ギターの山口隆だが、大ヒットしていた00年代よりも多少ハスキーな声になったことで、哀愁が漂っているのも味わい深い。
オリジナルでは9年ぶりに週間TOP10入りをはたした本アルバムには、他に「愛してる愛して欲しい」や「私をライブに連れてって」などヒューマニティー溢れる楽曲が満載。手書きデザインの歌詞カードも含め、今のライブのリアル感をパッケージに詰め込んでいる。今後、更に再ブレイクが進みそうだ。
ここではデビュー2年内のアーティストを対象に、毎月注目のアーティストを"歌ネット・ルーキー"として紹介していく。ただし、「ルーキー」として選定するのは1アーティストにつき1度限りとする。
今月は、第4位のKEYTALKに注目。彼らは、ボーカル&ギターの寺中友将、ボーカル&ベースの首藤義勝、ギター&コーラスの小野武正(リーダー)、そしてドラムス&コーラスの八木優樹からなる男性4人組。
彼らは09年にバンドを結成し、10年よりインディーズにてCDをリリース、12年には台湾でツアーやフェス出場を経験しているほど、ルーキーとは呼べないほど経験豊富。13年11月にシングル「コースター」でメジャーデビューし、14年5月にはメジャー1作目のアルバム『OVERTONE』が初動0.9万枚、累計1.3万枚のスマッシュヒットとなっている。
そして、今年に入って3月に4thシングル「FLAVOR FLAVOR」、4月に5thシングル「桜花爛漫」とサビ頭のキャッチーなポップロックを立て続けに発表し、5月発売のメジャー2ndアルバム『HOT!』が、初動で1.4万枚と前作累計を1週間足らずで超えた。DVD付き初回盤のみならず、CDのみのスペシャルプライス盤(2300円+税)もそこそこ売れていることからも、ティーン世代にも浸透したようだ。実際、歌詞人気の1位から7位まで『HOT!』収録という事からも、本作で一気にファンが広がったことが分かる。
彼らの大きな特長は、ツイン・ボーカルや、二人を支えるコーラスや煽りの部分が多く、全体に"歌モノ"としてクオリティーが高く、ファンキーなロックが多い点も相まって初期のサザンオールスターズを彷彿とさせる。また、シングル向きのポップな楽曲は、ボーカル&ベースの首藤の作詞・作曲によるものだが、よりハードな楽曲やジャズテイストの楽曲などは他のメンバー3人が手がけており、これがバンドの幅を大きく広げていて、アニメタイアップ曲だけ突出して売れるポップロックバンドとは一線を画している。TVと相性の良い楽曲も、LIVEで盛大に盛り上がる曲も書けるバンドなので、今後さらに飛躍するはずだ。
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