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Q)御三家の頃は、みなさん仲は良かったのですか?
良かったもなにも、あの頃は、お互いほとんど逢わなかったですね。年末くらいなもので。7年くらい前に、御三家で1年間、コンサートやったんだけど(平成12年〜13年「御三家メモリアルコンサート」全国120公演)、あの時が初めてだよね。ちゃんと付き合ったのは。仲良くやってたんだけど、終わってからは、また逢わなくなっちゃって…、まあ、そんなもんなんだよね。
Q)ビクターではなく、コロムビアからデビューしていたら、芸名は舟木一夫だったという話は有名ですが、本当ですか?
事実ですよ。あの名前は、もともとは、遠藤先生が僕に付けてくれた名前なんですよ。面白い話ですよね…、人生変わってただろうね(笑)。
Q)台湾では、橋さんの「雨の中の二人」のカバーが大ヒットして、誰もが知っている国民的ヒット曲になっているようですが?
そうだってね。あんまり知らないんだけどね。でも、それで呼ばれてて、来年(2011年)4月に行くんですよ。嬉しいですね。
Q)ところで、インターネットは、使われますか?
使っていますよ。おもに買い物ですね。最近だと、ユニクロのトレーナーとかね。もう、ネットで買えないものはないよね。あとは、辞書がわりだね。
Q)ユニクロの洋服はお好きなんですか?
好きですよ。ついこの前も、銀座のユニクロ行きましたよ。デザインもいいし、なにしろ安いしね。あれじゃあ、同じようなものでも何倍もの値段のブランドものは売れないよね。でも、それが本来あるべき姿なんだよ。今までの流通がおかしいんだよ。
Q) カラオケに行かれることはありますか?
このごろはないですけど、20年くらい前は行ってましたね。その時は、僕の歌はほとんど歌わなくて「I LOVE YOU」とか「シクラメンのかほり」とか、昔の三橋さんの歌とかだね。でも、カラオケって、たしかに日本人が作り上げた文化なんだけど、それまでは歌を聴くだけで満足してた人たちを、参加させてしまったっていう側面もあるよね。
Q) これまで、もらって嬉しかった贈り物は何ですか?
昔、5円玉とか50円玉で作った五重塔を頂いたことがあって、驚きましたね。最近だと、ワインが嬉しいですね。赤ならオーパス・ワン、白ならシャブリですね(笑)。ちょっと前までは焼酎だったんですけど(笑)。
Q) 今、欲しいものは何ですか?
電気自動車ですね。もう売ってますけど、今の車を買ったばっかりだから、3年後くらいですね。その頃には、もっと良くなっているでしょうね。
Q)よく見るテレビ番組、よく聴くラジオ番組を教えてください。
ほとんどテレビですね。ニュースだけですけど。うるさい番組は見ないですね。
Q)今、一番楽しい時間は、何をしている時ですか?
最近、インテリアにしたくなる書「キャレモジ」(Carre Moji)というのをやっていて、それを書いてる時が一番楽しいね。もともと、書道を習っていて、草書、行書、楷書、全てやったんだけど、書道の先生になるわけじゃないし、だんだん、つまんなくなってきたんですね。そんな時に、たまたまテレビで、キャレモジを書いている女性が出ててね、これは面白いと思って、それで、その先生のところに入門したんです。月2回、習いに行ってるんですよ。あとは、フルートを吹いている時が楽しいかな。
Q)音楽以外で、何かやってみたいことはありますか?
家をリフォームして、プランターとかで屋上菜園みたいなのをやってみようと思っているんですよ。還暦すぎてから、これまでずっと家庭を顧みることがなかったという反省も含めて(笑)、家庭の中での楽しみを作っていきたいと思っていて、その一環ですね。それと、だんだん、食事もエコになってきて、自家製が重んじられる時代だし、小さい野菜とかは、プランターとかでも十分できちゃうでしょ。だから、そういうのを楽しみながらやろうと思っています。
Q)もしも生まれ変わるとしたら、何になりたいですか?
今でも興味あるのは、建築の設計士ですね。もともと絵が好きで、中学のころは、製図が大好きでしたね。家を建てる時も、建築現場に行って、職人とああだこうだ話すのが好きでね。来年リフォームするのも、僕が全部、図面を書いてますから。
Q)最後に、今の音楽業界を、どう感じていらっしゃいますか?
大変な危機ですよね。危機感ありますよ。自分のことじゃなくて、本当に日本の音楽業界どうなっちゃうんだって思っていますよ。根本は、アナログからデジタルに変わったことが原因でしょうけど、これほど、音楽が変わるとは思わなかったもんね。形すらなくなったもんね。だから、これからも、僕らが想像できないくらい変化していくんでしょうね。
でも、歌を作って記録する媒体が、レコードからCDになって、今では、物体としてなくなっちゃって、全部ダウンロードじゃあ、あまりにも儚いよね。歌ってなんだろう?って思っちゃうよね。これまで、情感としてやってきた部分が連綿とあって、それが完全に破壊された感じがするね。さみしいね。今の若い子たちは、知らないからそれでいいんだろうけど、昔を知ってる人たちが、それでいんだろうかって考えなきゃいけないよね。
だから、レコード会社がなくなるとか、そういったことではなくて、日本の音楽業界はどうしてゆくべきかってことは、みんなで考えるべきことだね。まずは、マーケットを作っていかないとね。願わくはね、たとえば、どっかの大メーカーが、県庁所在地全部、日本全国で50か所くらいに、歌謡曲系、演歌系のやれるライブステージを作ってほしいね。アマチュアばかりだとマイナーな感じになっちゃうから、プロも出演するステージを作っていかないとね。そこで、いい人がレコードを出すみたいなシステムを作っていけばいいんじゃないかな。アメリカとかは、ずいぶん前からそうなっているけど、そういうことを何かやっていかないと、アメリカみたいなスタンダード曲は今後、生まれてこないと思いますよ…。
(2010/10/01、取材・文:西山 寧)
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